apied 2019.05
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研究を重ね、手間ひまをかけるのは美味安全のため この春、産直商品に加わった真鯛「豊潮の育み」が育つ愛媛県八幡浜に広がる宇和海は、世界でも数少ない好漁場。鯛の水揚げにおいては、天然・養殖ともに日本屈指です。 そんな鯛激戦区において、「おいしい」「また食べたい」と絶賛される養殖鯛を育てているのが大成水産の泉さん。両親が営む水産加工会社を継ぎましたが、鯛の養殖は泉さんの代から。「愛媛と言えば鯛やから、俺もやってみようと。何もわからんかったから、人に聞いたり、調べたり、手探りやった」。飼料の成分や与え方、ひとつのいけすで育てる鯛の数などについて自らデータを取って、分析を続けました。 数々の試行を経て、飼料は天然素材の緑茶カテキンやポリフェノール、海藻粉末など30〜40種の栄養成分を配合した乾燥固形タイプのドライペレットに決定。健康に鯛を育て、抗生物質の投与は行いません。「ドライペレットを与えた鯛の方が、歯ごたえがあっておいしいと水産業者や料理人の品評会で評判なんですよ」と話すのは、卸しを行う㈱マルミの小山さん。それに、と泉さんが続けます。「ドライペレットは、海に入っても形が崩れることなく、鯛の口に入るからゴミが出えへん。小さい頃からずっと眺めてきた、美しくて穏やかな八幡浜の海を守ることもできるのがええんよ」。 泉さんの研究成果はいけすの大きさにも及びます。「うちのいけすは、長さも深さも広々設計。しかも鯛の数を少なくして、いけす内を思う存分泳げるようにしているから、ギュッと締まった身質になるんやわ」。1年ほどで出荷するのが一般的な養殖鯛ですが、約2年かけてゆっくり育てるのも理由があってのこと。「水温が低いここの海は、他の海より成長もゆっくり。短い期間で無理に太らせるのではなく、ストレスなく育てたい。その方がおいしくなるよ」。 海の様子や育ち具合、飼料の点検・管理などでほぼ毎日海へ。「おいしい鯛を育ててくれ、という期待に応えたいから、必死にやるだけ」。まだまだ歩みを止めません。15穏やかな八幡浜の海に広がる養殖いけすみかんの産地でもある八幡浜みかん畑の山から、海を臨む

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