機関誌いずみ 2023年5月号
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参考文献商品検査センターでの検査のようす?6※1 神経毒性:中枢神経系や末梢神経系の構造や機能に悪影響を及ぼす毒性※2:木村−黒田論文「農薬ネオニコチノイドの曝露による哺乳類の脳発達への影響」(2012年)※3 一日許容摂取量(ADI):食品に意図的に用いられる特定の物質について、生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる1日あたりの量を、体重1㎏あたりで示した値2023年度版「食の安全 基本のお話」いずみ市民生協の食の安全に関する情報を掲載したパンフレットです。ぜひご覧ください。第108回 「培養細胞(生体外で培養されている細胞)による実験で、神経細胞に影響が見られた」という論文(※2)がありますが、動物実験の結果では、こうした作用は認められていません。 この論文を受けて、2015年に、欧州食品安全機関(EFSA)による総合的考察が行われましたが、「評価したネオニコチノイド系農薬のいずれも発達神経毒性物質であることを示唆する影響は認められなかった」としています。食品安全委員会による評価結果でも神経毒性や発達神経毒性に対する影響は認められていません。 農薬等の安全性評価は、国際的に合意されたテストガイドラインによる動物実験の結果が基本です。実際の食べものから農薬が摂取される場合は、どれくらい消化管から吸収されるか、吸収された後にどのように代謝(別の物質に変化すること)されるかなどの影響を受けます。培養細胞による実験をそのまま生体に当てはめることは適切ではありません。以上のことより、現時点では、ネオニコチノイド系農薬を特別問題視しなければならない農薬だとは考えていません。 いずみ市民生協は、最新の科学的知見に基づいて発表されている食のリスク評価に関わる国際機関や各国の機関の見解をもとに評価します。 引き続き、食品安全委員会等リスク評価機関の動向を始め、食の安全の情報収集に努めます。■いいえ、そのような科学的根拠はありません。 ネオニコチノイド系農薬は、ヒトをはじめとする脊椎動物への神経毒性(※1)を含む毒性が低く、かつ殺虫効果も高いことから広く使われている農薬です。■野菜や果物に残留する農薬の量は残留基準内に収まるように管理されています。 残留農薬の基準は、動物実験で有害な影響が出ない無毒性量に、安全係数100分の1をかけた一日許容摂取量(ADI)(※3)を超えないように設定されています。 国はもちろん、いずみ市民生協の商品検査センターでも検査をしており、実際の残留量は、検出されないかまたは検出されても残留基準値より大幅に低い値となっています。ネオニコチノイド系農薬が残留する野菜を食べると、子どもの脳に影響が出ると聞きましたが本当ですか。食の安全「基本のお話」

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