機関誌いずみ 2023年10月号
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⇒6参考:厚生労働省   「ゲノム編集技術応用食品等」※1 参考:WHOホームページ「遺伝子組み換え食品」※2 全米科学アカデミー:科学、医学、技術の分野で政府に助言を行う独立機関。1863設立で、会員には190人のノーベル賞受賞者を含む子や孫に影響が出ないか不安です。今まで食べてきた食品にない、新たな危害要因が生じることは想定できません。 ゲノム編集技術で変化するのはタンパク質です。タンパク質は、食べたあと、胃や腸で分解され消化されます。また、厚生労働省への届出時には、アレルギー物質の産出や毒性物質の増加等がないことが確認されます。未知のリスクはないのでしょうか。100%安全なものでしょうか。わからないものは不安です。現在流通している野菜や果物もリスクはゼロではありません。 どんなものでも食べ方によっては、健康に何らかの影響が出る場合があります。 ゲノム編集技術による品種改良の遺伝子の変化の範囲は、自然界の突然変異や従来の品種改良と違いがなく、安全性は同等と考えられます。遺伝子組換え食品で健康被害があると聞いているので、ゲノム編集食品もとても不安です…認可された遺伝子組換え作物による健康被害の報告はありません。WHOも「人の健康に及ぼす影響は確認されていない」という見解を示しています※1。 マスコミを騒がせた2005年のロシアや2012年のフランスの「動物実験による健康影響の報告」は、公的機関によって否定されています。ジェフリー・スミス氏が2012年に発表した『米国の遺伝子組み換え食品による健康被害が明らかになった』という「遺伝子組み換えルーレット」という映画にも「実害の事実」は出てきません。 2016年には、全米科学アカデミー※2が「アメリカでの遺伝子組み換え食品による健康被害はない」との報告書を発表しています。オフターゲットが危険と聞きました。食品種改良では心配ありません。 ゲノム編集技術は狙ったDNA配列を正確に切断(改変)する技術ですが、ごくまれに狙った場所以外に変異が生じることがあります。これを「オフターゲット」と言います。品種改良では、ゲノム編集された個体を交配の材料として使います。従来の品種改良と同じように、品種として確立するための戻し交配や選別が行われ、その過程でオフターゲットは取り除かれます。第1回 ゲノム編集技術はSDGsの目標達成   に貢献第2回 育種・品種改良について第3回 ゲノム編集技術による品種改良とは第4回 ゲノム編集食品についての誤解第113回 ゲノム編集食品について、さまざまな情報があふれていますが、品種改良などの仕組みを正しく理解することが大切です。今回はゲノム編集食品に寄せられている質問や心配の声について説明いたします。ゲノム編集食品を理解するためのお話 4回シリーズ    ゲノム編集食品についての誤解第4回食の安全「基本のお話」

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