機関誌いずみ 2024年1月号
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 人間の細胞の中のDNA(遺伝子)は、日常生活の中でストレスやたばこ等から頻繁に損傷を受けていますが、放射線のエネルギーでも損傷を受けます。しかし、こうしたDNAの損傷に対して、人間をはじめとする生物は修復するしくみを持っており、ほとんどの細胞は修復され元に戻り、がんの発生には至りません。2.少量の被ばくでも、がんなどの健康影響が出る可能性はゼロではありませんが、今の科学では、「100mSv(ミリシーベルト)未満」の被ばくによる人体影響は確認できないほど小さいといわれています。■がんになるリスクとその要因⇒8第1回 「放射能の基礎知識」第2回 「放射線の健康影響」第3回 「被災地の安全確保の取り組み」参考消費者庁 「食品と放射能Q&A」一般食品100 福島第一原子力発電事故で主に放出されたのが、放射性セシウムです。 放射性セシウムの基準値は、他の放射性物質による影響も考慮されています。4.食品中の放射性セシウムから受ける線量は1年間で次回は「被災地の安全確保の取り組み」についてお伝えします。放射線を受けた場合のがん要因・リスク食品群基準値(Bq/㎏)第116回生活習慣によるがん要因・リスク乳児用食品50広島・長崎の原爆による瞬間的な被ばくを分析したデータ  国立がん研究センター※一度に大量の放射線を受けると、DNAの修復が間に合わず、死亡する細胞が多くなり急性障害等の健康影響が 出たり、死に至る場合があります。飲料水101.19倍200〜500mSv1.80倍1000〜2000mSv1.40倍500〜1000mSv1.08倍100〜200mSv1.60倍喫煙・飲酒1.22倍肥満1.15〜1.19倍運動不足1.29倍痩せ過ぎ1.11〜1.15倍塩分の摂り過ぎ1.06倍野菜不足1.00倍1.私たちは常に少量の放射線を受けながら、健康への影響を特に意識することなく生活をしています。3.食品中の放射性物質の基準 食品から追加で受ける放射線量が「年間1mSv」を超えないように放射性セシウムの基準が設定されています。 「年間1mSvは、自然からの被ばく量の地域差の範囲で、だれでも受け入れ可能な目安」(※)とされています。 ※国際放射線防護委員会(ICRP)見解 ■放射性セシウムの基準値(Bq:ベクレル)   牛乳500.001mSv程度(1mSvの0.1%)です(※)。  ※厚生労働省 令和4年9・10月 マーケットバスケット方式による調査食品と放射能のお話 3回シリーズ    「放射線の健康影響」第2回食の安全「基本のお話」

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