機関誌いずみ 2024年5月号
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トマトは、厳しい環境では、栄養を吸収するために多くの毛細根(うぶ毛のような細かい根)を出します。水分を得ようとする毛細根は、トマト本来の生命力を活性化し、多くの栄養・ミネラルを吸収しておいしいトマト誕生を育みます。今月の特集3フードロス対策にトマトの加工品も作っています!収穫量が需要より多くなったときは、糖度の高いものはそのまま飲めるトマトジュースに、中程度のものはゼリーにすることもあります。見学に来られた際はぜひ食べてみてください。 約40年前、ある農業技術の先生が、岩山に実ったみかんがすごくおいしいことを発見し、野菜類もそういうところで作ったらおいしいのでは?という仮説を立てました。当時から農家を営んでいた私は、何か新たなこだわり野菜に挑戦しようと考え、その研究の一環で沖縄北部でトマトを作るプロジェクトに参加し、驚くほどおいしいトマトの収穫に成功しました。今までと違う甘さとまるでジュースのような初めての感覚。40年前はまだフルーツトマトはありませんでしたので“果物みたい!”と本当に驚きました。後でわかったことですが、痩せた土と、光が強く冷涼な気候条件は、トマトが生まれた原生地、南米ペルー・アンデス山脈の環境に近く、これこそが自然の力を存分に活かした栽培方法だったのです。おいしいトマトが実った時には、もう本当にうれしかったです。おいしさの秘訣「毛細根」組合員さんの声で工夫した収穫時期 あるとき組合員さんから「酸味が残る」という意見をいただきました。それまでは糖度を上げることばかりを考えていましたが、組合員さんの手元に届いてすぐに食べても、酸味がきつく感じない状態でお届けするために、収穫の時期を見極めるようになりました。今では日々、みなさんが食べるタイミングを考え、想像力を高めながら作業に取り組んでいます。トマト作りを始めた理由安藤さんが語るトマト作りの極意、そして情熱とは

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