機関誌いずみ 2025年3月号
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相手に判断をゆだねる会話法です。 幼い頃、子どもにとって親は絶対的な存在。しかし、思春期になると「自分は親とは違う1人の存在だ」という意識の芽生えから、親に対して矛盾や反発を強く感じるようになります。そのため、反抗的な態度を取ることが増えたり、対応がめんどくさくなって距離を取ったりします。また、思春期の子どもは、大人と比べて言葉で自分の気持ちや状況をうまく表現できないため、思春期特有の苛立ちや不安を自分でもどうしていいかわからず、反抗的な態度や言葉でしか表せないこともあります。 ある程度の我慢は必要ですが、親も1人の人間。あまりにきついと親自身も当然傷つきます。そんな時は、「その言い方はダメだよ」、「それはお母さんを傷つける言葉だよ」などとはっきり伝えることも大事です。また、Iメッセージ※を使って話をすると、相手に配慮しながら自分の主張もでき、会話のトーンが柔らかい印象になるので、思春期で反抗しがちな子どもとの対話には有効です。アイ※Iメッセージ:例えば「(私は)その言葉は寂しい」「(私は)その遊びは心配よ」など、主語を「私」にした、 子どもがしっかりと自分と向き合い悩める環境づくりを手伝ってあげることが大事です。 親はつい何事も、わが子が失敗しないようにと先回りして助け舟を出したくなりますが、親が助け舟を出しすぎると、なかにはそれに甘んじていく子もいます。アイデンティティの確立のためには、子どもの力を信じて見守りながら、あまり先回りせず親の考えを伝えた上で、そこから先は子ども自身に決定させることが大事です。むしろ、そこで失敗しても「大丈夫」と受け止めてあげることこそが親の役割。そうすれば小さなつまずきがあっても、子どもは失敗を恐れず、自らの力で前に進んでいけると思います。アイ澤樹さん澤樹さん澤樹さん今月の特集3 こころもからだも劇的に変化する中、様々な苛立ちや戸惑いを抱える思春期の子どもたち。親から見ると「難しい年頃」と感じる彼らにも、そのような思春期ならではの大変さがあること、その大変さも子どもが自分自身を確立していくために必要な成長過程であることを知っておくと、親も少し落ち着いて関われるかもしれません。思春期の子どもへの接し方としては、子ども自身が持つ力を信じて温かく見守りながら、必要な時は子どもを守る「壁」にもなることが大切です。子も親も、悩みながら一緒に成長していくイメージで。そうしているうちに、いつか必ず思春期という迷宮にも出口が見えてきます。親がすべてを背負う必要はなく、困ったときは身近な人や専門家の力も頼りましょう。思春期の子どもの反抗的な態度や言葉遣い、親はやはり我慢するしかないですか?子どもがアイデンティティを確立するために、親ができることはありますか?どうして、親に反抗するのでしょうか

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