【島明香里】【舟塲琴美】嘉手納の日々に平穏を「希望の海」を守る❶嘉手納基地❸辺野古基地建設で 埋め立て進む大浦湾米軍辺野古基地建設のための埋め立て工事が進む大浦湾で、海中の様子を見ることができるグラスボートを運航している「じゅごんの里」の松井ちえ子さんに話を聞いた。 大浦湾を含む県北部東海岸は海洋学者のシルビア・アール博士によって2019年、世界的に重要で保護しなければいけない海域である「ホープスポット」に認定された。日本で認定されている場所はここだけで、大浦湾では魚類や貝、サンゴなど5300種以上の生き物が生息し、新種も発見されているという。隣接する浅い海にはジュゴンの主食であるアマモなどの海草が広がっていて、ジュゴンが海草を食べた跡のジュゴントレンチが多数確認されていた。その海で現在行われて2 ❸ いる埋め立ては、米軍普天間飛行場の移転先として新たな米軍基地を建設するためのものだ。普天間飛行場は宜野湾市の中央にあり、「世界一 危険」と言われている。実際に嘉数高台公園の展望台から飛行場を見たが、すぐ近くに住宅街や学校があり、とても驚いた。その普天間飛行場は、1995年に起きた米兵による少女暴行事件を受けて、全面返還が決まった。その移転先については、県内の全市町村長や議長が県内移転断念を求 める建白書を2013年1月に政府に出したが、その年の12月に当時の知事が承認。その後、埋め立て反対を訴え当選した知事らが誕生したが、18年に埋め立てが始まり6年間で全体の約15%の土砂が投入された。海の底に「マヨネーズ並み」といわれる軟弱な地盤が見つかり地盤改良も必要になっている。これから、時間も費用も増えていく見込みだという。私はそこまでして基地をつくる必要があるのか、守るべき「ホープスポット」に認定された海で、自然破壊をしてまで行わなければいけないことなのかと思った。松井さんは「一番の問題は、沖縄県外の人たちの無関心です」と話していた。辺野古基地埋め立て問題を多くの人に知ってもらうとともに、「自分事」として考えてみてほしいと思った。米軍の基地が沖縄にあるのは知っていたが、墜落の危険性だけでなく、騒音被害があることは初めて知った。 嘉手納基地を見ることができる道の駅沖縄県平和祈念資料館では、沖縄戦で使用された竹槍や短剣・服、当時の着物などが展示されていた。その中で目を引いたのは「方言札」だ。これは、標準語を沖縄で普及させる手段として、主に学校で、沖縄のことばを使った者の首に罰として掛けられた。当時、沖縄の学生の間では、「方言札」を掛けられた学生が、別の学生を突然わざとうしろかかでなで、基地の騒音被 害を訴え裁判を起こしている方々に話を聞いた。戦闘機は平日に離着陸し、土日はあまり飛ばないという。今回の嘉手納基地取材は土曜だったので、戦ら蹴って「あがー(痛い)」と言わせて、その学生に「方言札」を回すという自虐的ないじめが多発していたという。沖縄での戦争では、方言を使うことはスパイとみなされたこともあった。米地位協定を改定しなければ、沖縄で起こっている米兵の事件を解決することはできないこともわかった。「同様の地位協定を米国と結闘機の騒音は体験できなかったが、輸送機でも大きな音や風を感じた。普段走っている電車の音を高架下で聞くと約90デシベルで、基地周辺の騒音の平均は約85~90デシベルという。まさに、「爆音」。耳をふさぎたくなるような騒音被害に朝また、米国を優遇した日も、晩も悩まされているという。これが自分だったら眠れないと思う。基地のある場所は、元々水源がある豊かな土地で、人々の集落のある場所だったという。基地のすぐ近くにはたくさんの学校や公共施設があり、そこには地域の人々の暮らしがあると思うと、やるせない気持ちになった。米軍普天間飛行場の辺野古移転の工事が始まっていて、実際に辺野古の埋め立て現場なども見たが、場所を変えても問題は変わらないのではないかと思う。どこに基地があっても、住民の方々は被害を受けるだろうから、その苦しみをなくすことが大事だ。そもそも戦争がなければ、米軍基地が沖縄につくられることはなかった。私たちは戦争が与える影響、被害、爪痕をしっかりと見つめ、受け止め、これからにつなげることができる。戦争を二度としないという強い意志を一人一人が持ち続けることが大切だと思う。んだ国々では、改定したので日本でも改定できるはずだ」ということを聞いた。この話は沖縄だけでなく、米軍基地がある日本全土に関わりがある。10月に石破茂内閣が成立したが、石破首相は日米地位協定の改定を主張したこともあるので、今後、日米地位協定についてくわしく調べて、沖縄だけではなく日本のこととして考えてみたい。 【桒原聡太】日本政府が米軍辺野古基地建設を進める大浦湾。台風で工事用船舶は避難していた米軍嘉手納基地の航空写真の前で説明する爆音訴訟の原告嘉数高台公園から望む米軍普天間飛行場 沖縄から学ぶ教訓沖沖縄縄のの声声知知っっててほほししいい
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