食の安全学習パンフ2021年
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12A2B34 農薬の再登録時に、急性毒性だけでなく、長期の慢性毒性試験や環境生物への影響試験が求められるようになりました。 この改正を機に、より低毒性の農薬、選択性の高い(害虫や病原菌などにだけ効き、人などには影響の小さい)農薬、残留性の低い農薬へと、農薬の開発はシフトしてきました。「天敵農薬」の例: 害虫アブラムシ類を捕食するヤマト「微生物農薬」の例: バチルス ズブチリス菌(納豆菌の仲間)を作物に定着させて、後から付着する病原菌の生息場所をなくして、発病を抑える。 農薬は基準通り使用されていれば、健康に影響するような残留量ではありませんが、以下の理由で、できるだけ減らした方がいいと考えます。 環境影響の少ない農薬しか許可されなくなってきているとは言え、何らかの生態系への影響は否定できません。 農水省発表の「2019年度の農薬による事故・被害の調査結果」によると、被害は11件23人でした。 農薬を反復して使用するうちに、害虫や雑草がその農薬への抵抗性を持ち、効力が低下していく可能性があります。週刊誌等で発表されている検出値は、最大0.23PPMで、基準値の100分の1以下でした。 きっかけは、2015年、国際がん研究機関(IARC)が、グリホサートを「おそらく発がん性の可能性あり」のグル―プ2Aに分類したことです。 グリホサートは遺伝子組換え作物開発のトップ企業の製品だったために、大きな騒動になりました。* この時、IARCが、同様にグル―プ2Aにランク付けたダイアジノンとマラチオン(どちらも有機リン系殺虫剤)は話題になりませんでした。 IARCは、発がん性を「根拠の強さ」で5段階に分類しています。クサカゲロウ(幼虫)剤あるおそらくある可能性がある分からないないアルコール飲料、タバコ、加工肉(ハム・ソーセージ等)赤肉(牛肉、豚肉等)、アクリルアミド、美容・理容に従事わらび、漬物、携帯電話、ガソリンの排気ガスカフェイン、お茶、サッカリン、蛍光灯14(2)1971年に農薬取締法が改正されました。(3)生きた天敵を放す「天敵農薬」や微生物を活用した「微生物農薬」など、生物農薬の開発もすすんでいます。(1)環境や生態系への影響の心配(2)作業者の事故や健康被害の心配(3)害虫や雑草の耐性問題の心配(1)除草剤グリホサート①グリホサートは、農業、家庭菜園に世界で最も広く使用されている除草剤です。②グリホサートは、残留基準内であれば、人の健康へのリスクは心配しなくてもよいとされています。③グリホサート騒動IARCの分類グループヒトに対する発がん性例4.農薬の使用はできるだけ控えるべきだと考えます。5.週刊誌等で話題の農薬について

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