農薬の再登録時に、急性毒性だけでなく、長期の慢性毒性試験や環境生物への影響試験が求められるようになりました。 この改正を機に、より低毒性の農薬、選択性の高い(害虫や病原菌などにだけ効き、人などには影響の小さい)農薬、残留性の低い農薬へと、農薬の開発はシフトしてきました。「天敵農薬」の例: 害虫アブラムシ類を捕食するヤマトクサカゲロウ「微生物農薬」の例: バチルス ズブチリス菌(納豆菌の仲間)を作物に定着させて、後から付着する病原菌の生息場所をなくして、発病を抑える。 改正の主な内容は、農薬の再評価制度の導入と安全性審査の充実です。2021年度より、使用量の多い農薬から随時、最新の科学的知見に基づいた安全性等の再評価が実施されていきます。 農薬は基準通り使用されていれば、健康に影響するような残留量ではありませんが、以下の理由で、できるだけ減らした方がいいと考えます。 環境影響の少ない農薬しか許可されなくなってきているとは言え、何らかの生態系への影響は否定できません。 農水省発表の「2019年度の農薬による事故・被害の調査結果」によると、被害は11件23人でした。 農薬を反復して使用するうちに、害虫や雑草がその農薬への抵抗性を持ち、効力が低下していく可能性があります。共生を図り、環境保全や食の安全に配慮した農林水産業や加工方法のことです。 生産者は、有機か一般栽培かに関係なく、「安全でおいしいもの」を丹精込めて作っています。 環境影響の少ない農薬しか許可されなくなってきているとは言え、農薬の使用は、生態系に何らかの影響を与えています。有機栽培は、農薬や化学肥料を使わない生き物にやさしい農業と言えます。ただ、栽培面積当たりの収穫量が一般栽培よりも減るので、必要な収穫量を確保しようとすると、農地を広げなければならなくなり、環境負荷は大きくなってしまいます。(幼虫)剤14(2)1971年の農薬取締法改正(3)生きた天敵を放す「天敵農薬」や微生物を活用した「微生物農薬」など、生物農薬の開発もすすんでいます。(4)2018年の農薬取締法改正(1)環境や生態系への影響の心配(2)作業者の事故や健康被害の心配(3)害虫や雑草の耐性問題の心配(1)有機とは、自然環境(太陽・水・土地・大気)との調和を大切にし、そこに生息する多様な生きものとの(2)「有機だから安全でおいしい」とは言えません。(3)2019年度、国内の農産物総生産量に占める有機農産物の割合は0.32%です。(4)有機の本来の目的は「環境・生物多様性」の保全です。①農薬は基準通り使用されていれば、健康に影響するような残留量にはなりません。②有機農産物の方が、栄養価がすぐれているというデータはありません。③おいしさの秘密は鮮度や品種だと言われています。4.農薬の使用はできるだけ控えるべきだと考えます。5.生き物にやさしい「有機農産物」
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