食の安全学習パンフ 2024年
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12A2B34週刊誌等で発表されている検出値は、最大0.23ppmで、基準値の100分の1以下でした。 きっかけは、2015年、国際がん研究機関(IARC)が、グリホサートを「おそらく発がん性の可能性あり」のグル―プ2Aに分類したことです。 グリホサートは遺伝子組換え作物開発のトップ企業の製品だったために、大きな騒動になりました。* この時、IARCが、同様にグル―プ2Aにランク付けたダイアジノンとマラチオン(どちらも有機リン系殺虫剤)は話題になりませんでした。 IARCは、発がん性を「根拠の強さ」で5段階に分類しています。 この騒動を受けて、世界保健機関と国連食糧農業機関の合同残留農薬専門家会議(JMPR)は、IARCが発がん性の根拠とした全論文・報告書を含めて詳細に審査し、グリホサート、ダイアジノン、マラチオンの3つの農薬とも、作物残留を通しての人の健康へのリスク(発がん性、遺伝毒性)はないと判断しています。日本の食品安全委員会も2016年に「神経毒性、発がん性、繁殖能力に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」と結論付けています。欧州や米国、カナダ、ニュージーランド等の食品のリスク評価機関も同様の見解を示しています。 IARCが行ったのは、「ハザード(どんな危害があるか)」の特定です。一方、JMPRや食品安全委員会等リスク評価機関が行ったのは、「ヒトに対する実際のリスクの評価」です。実際に摂取する量によってリスク度は異なります。週刊誌等に「子どもの脳に有害」という記事が見られますが、そのような科学的な証拠はありません。 農薬等の安全性評価は、国際的に合意されたテストガイドラインによる動物実験の結果が基本になります。記事で紹介されている実験は、培養細胞(生体外で培養されている細胞)による実験です。培養条件下では生体内での生理的条件から離れてしまい、実験結果を、そのまま生体に当てはめることはできません。 ネオニコチノイド系農薬は、神経細胞の受容体(神経伝達物質が結合する部位)に作用します。受容体の親和性(くっつきやすさ)はヒトと昆虫では大きく異なり、昆虫のほうが80倍~数千倍も親和性が高いことが知られています。 昔、天然物であるニコチンが殺虫剤として使われていましたが、人間や家畜への毒性が高いため、使われなくなりました。そこで、人間や家畜への影響が少なく、昆虫に対して選択的に神経毒性を発揮する新しい農薬としてネオニコチノイド系農薬が開発されました。 ネオニコチノイド系農薬は、ヒトをはじめとする脊椎動物への安全性が高く、殺虫効果も高いことから広く使われあるおそらくある可能性がある分からないないアルコール飲料、タバコ、加工肉(ハム・ソーセージ等)赤肉(牛肉、豚肉等)、アクリルアミド、美容・理容に従事わらび、漬物、携帯電話、ガソリンの排気ガスカフェイン、お茶、サッカリン、蛍光灯15(1)除草剤グリホサート(2)ネオニコチノイド系農薬①グリホサートは、農業、家庭菜園に世界で最も広く使用されている除草剤です。②グリホサートは、残留基準内であれば、人の健康へのリスクは心配しなくてもよいとされています。③グリホサート騒動IARCの分類④食品のリスク評価機関は「人の健康へのリスクなし」と判断しています。⑤ハザードの特定とリスク分析の違い⑥2020年度より、コープ・ラボ(商品検査センター)で検査しています。結果は、検出されないか検出されても残留基準よりも大幅に低い値となっています。①動物実験では、こうした作用は認められていません。②昆虫の神経にはよく効きますが、ヒトの神経にはほとんど効きません。③ネオニコチノイドは、ニコチンに似た成分(ニコチノイド)をベースにした物質です。④稲作に欠かせない農薬です。グループヒトに対する発がん性例6.週刊誌等で話題の農薬について

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