我が家の生協さん藤本 由美

藤本さんにお話を聞きました
「口笛吹きと子犬の曲」からはじまる冒頭、数十年前からの生協の配送利用者ならだれもが知っているメロディー、配送を知らせる「音」からの書き出しに、読み手は一気に過去の記憶を呼び起こすことでしょう。トラックから商品が次々と運ばれ、目の前の商品を近所の方々と囲んで談笑しながら分けていく、子どもたちもうれしそうに集まる当時の情景がいきいきと浮かびます。
藤本さんは、当時東大阪に移り住んだばかりで、知り合いのいない地で慣れない子育ての真っただ中、生協の配送を通して団地の子育て世代とつながり、地域に馴染むきっかけとなったそうです。
そして40年前の情景から一転して、場面は現在になります。
家族LINEに生協にまつわる思い出を尋ねたところ、30代、40代の娘さんや息子さんから届いたメッセージがつづられます。
大人になった子どもたちのメッセージから、生協の懐かしい商品やそれを囲んだ食卓、当時の家族の風景に共感する方も多いことでしょう。
エッセイ募集のこの企画をきっかけに、現代のコミュニケーションツールであるLINEを使って離れて暮らす家族が生協を囲んだ思い出話に花が咲いたエピソードは、印象に残りました。
亡くなったご主人の一言が最後に添えられ、家族構成が変わった今も生協のある毎日、ふと生協の商品やカタログからそれを好きだった家族の顔が藤本さんの心に浮かぶ、生協が家族をつないでいることが伝わるエッセイです。

