孤独な育児に、
生協さんからもらったもの
松山 知奈美

松山さんにお話を聞きました

 子育てと生協の配送のエピソードを数多くいただきましたが、現代の子育て世代のエピソードが伝わるエッセイです。
 松山さんは、まさにコロナ禍で外出制限の厳しいさなかの孤独な育児の状況を語ってくれました。
 初めての赤ちゃん、知り合いのほどんといない地域で、実家にも帰れず、頼る人もいない、コロナ禍なので、自治体の子育て支援も厳しい中での孤独な子育てだったことがインタビューでわかりました。
 「ドンッ」と音ではじまる書き出しから、個人別配送が届き、その音で目覚める日常が続きます。夜泣きで眠れず、お昼近くに目覚め、届いた商品を冷蔵庫にしまう姿と、冒頭でしんどそうな母親の姿が浮かびます。
 1日の大半は赤ちゃんと二人だけ、さらにコロナ禍で赤ちゃんを連れての外出もままならない、ご主人以外ほとんど他人と言葉を交わすことのない日常生活は、まさに社会との断絶ともいえるような状況だったことでしょう。
 赤ちゃんが生まれる前は仕事をしてさまざまな人と関わってきた松山さんには、そのギャップも孤独感を強くしたことと思います。
 そんな赤ちゃんと二人きりの家に、個人別配送が届く。赤ちゃんを起こさないようにという配送担当者の足音が社会と松山さんをつなぎ、松山さん自身を「一人じゃないよ!」と励ましていたというエピソードは、配送担当者も勇気づけられることでしょう。