スタッフのつぶやき
岩手のこと(2018.3.12配信のわトモメールより)
メルマガのあとがきが長くなったのでこちらにまとめてみました(アツタ)
今年もひとりの男性のことが気になりました。
7年前、生協からの派遣で岩手にお手伝いに行っていた時のこと。生協のトラックを使って、仮設住宅までの引越しのお手伝いをさせてもらっていました。
東北や熊本、先日の福井の大雪など、災害が発生した地域から要請があれば各生協が職員を派遣、支援しあっています。
荷物を運ばせていただいたのはご年輩の方が多かったですが、おひとりだけ、自分より少し若いくらいの男性がいらっしゃいました。
仮設住宅へ運ぶ荷物をトラックの荷台の上でいくつか受け取っていると、グレーのスウェット上下姿のその方がぽつりとつぶやかれました。
「私には家がないんです。屋根さえない」
その方は家も車も職場もすべて流され、妹さんの家の屋根裏に身を寄せておられました。頭に浮かんだことばはどれもふさわしくないような気がして、結局僕はその時何も言えませんでした。
ただただ、受け取った荷物が崩れないようにしっかり荷台に固定し、おそらく誰かに借りてきたであろう原付に乗ってついて来られるその方が慌てなくていいように、ゆっくりゆっくりトラックを仮設住宅へ向けて走らせました。
他にも現地ではいろいろなお話をお聞きましたが、その時その方がつぶやかれた時の、どこにも行き場のないような表情が僕には一番リアリティがありました。
東日本大震災から7年がたちましたが、仮設住宅などで“仮住まい”をされている方はまだ約3万人いらっしゃるそうです。
いまでも年に何度か、ふとしたときにその方の姿を思い出します。いまどこでどんな風に生活しておられるか知る由もありませんが、どうか、あったかいところで過ごされておられますように、と思います。
これからはわっかで、こんなお話しも紹介していければなと思っています。
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