機関誌いずみ2021年12月号特集ページ

お片付けから始めるSDGs

年末になると、家じゅうの掃除や不要になった物の整理などを行う人が多いと思います。
実は、片付けにはSDGsにつながる要素が含まれています。日常の暮らしで実践できるSDGsを意識しながら片付けをして、晴れやかな気持ちで新しい年を迎えましょう。

お話を聞いた人

阪田 由香里さん
整理収納アドバイザー1級

家事代行の仕事で、さまざまなクライアントの家の整理やお片付けのアドバイスなどを行っている。もともとは片付けが苦手だったが、今では1ヶ所の押入れ収納だけで十分なくらしを実践している。

SDGsにつながるお片付けとは?

SDGsとは、国連で採択された「2030年までに世界が達成させなければいけない、持続可能な開発目標」のことで、目標は全部で17個(下図)あります。いずみ市民生協でもSDGsの取り組みを積極的にすすめており、「誰一人取り残さない」世界の実現をめざしています。
SDGsと聞くと、国や行政で取り組むものと思われがちですが、一人ひとりができることがたくさんあります。例えば、日常の何気ない片付けが「住み続けられるまちづくり」につながりますし、片付けや買い物の際に考えたい「つくる責任・つかう責任」、プラスチック製品の使用を控え、捨てる際には適切に破棄することなどがSDGsに結び付きます。みなさんも、自分の片付けがSDGsの何番につながるのか考えながら、片付けをしてみませんか?

お片付け前に知っておきたいこと

知っていますか?整理と整頓の違い

「整理」と「整頓」は意味が異なります。

「整理」… 必要なもの、不要なものを区別すること

「整頓」…今あるものを見た目良く整えること

「整理」を行わずに、「整頓」に取りかかると「どうしたらいいのかわからない」と混乱したり、一時的に整えられてもリバウンドしたりする可能性があります。

お片付けはチームプレイで

家族で協力してやるようにしましょう。物をどこに置くか、必要なものか不要なものかをみんなで考えることで、全員が「ジブンゴト」と捉えるようになります。

物は使ってこそ活きる

「大切にしまい込んで使わない」をやめましょう。物は使われるために作られています。
物を大事にしたいと考えるなら、愛情を持って使いましょう。

お片付けで心がけたいSDGsにつながる3R

リデュース(Reduce)

買い物をする際は「本当に必要なものか?」「代用できるものはないか?」などを考えましょう。購入する場合は、買いだめをせずに、必要な分だけを購入しましょう。
また、環境に配慮した材料のものを選びましょう。

リユース(Reuse)

買物を処分する前に、他の使いみちがないか考えてみましょう。Tシャツの袖部分をカットして愛犬の服にしたり、小さくなった服や擦り切れたタオルなどは拭き掃除の雑巾として使うのもひとつの方法です。

タオルをコースターにリメイク。

飲み終わった牛乳パックはきれいに洗って、
収納ケースとして利用。

自分で使うことはなくても、他の人が上手に使ってくれることもあります。フリーマーケットやリサイクルショップに持っていく、オークションサイトで販売するのもひとつの方法です。

リサイクル(Recycle)

ごみを燃やすことでCO2が大量に発生する恐れや、処理されていないプラスチックごみが海洋にあふれ出すなど、ごみの処理には多くの問題があります。そのため、ごみを減らすためにリサイクルをすることが大切です。
読み終えた雑誌や不要な紙パックや食品トレーなど再利用が可能なものは、ごみに出すのではなく、リサイクルに出しましょう。コープの宅配やコープのお店で購入したものは、配送時やお店でリサイクルができます。
また、プラスチック製品ではなく、再利用がしやすい紙製のものや鉄製のものなどを中心に購入することも大切です。

コープのお店のリサイクルボックス

いずみ市民生協のリサイクルについて

片付け空間をキープするために

小掃除でリバウンド阻止

季節ごとや年に1回の大掃除ではなく、毎日少しずつ整理整頓しましょう。一度に全部の掃除を行うのではなく、「今日はこの引き出しだけ」と範囲を決めてすることをおすすめします。

物の住所を決める

物は使用したら必ず元の位置に戻します。
置き場所を決めることで、物の紛失も減りますし、探す時間も節約できます。

使うスピードと買うスピードを知る

「安いから」「品切れが不安」などと買いだめをするのはやめましょう。買いだめしたものの、消費期限が来て処分した、という例もあります。使うスピードと買うスピードを把握して、必要な分だけ買いましょう。

洗面所のシンク下にため込んでいた洗剤などを
一旦外に出して整理。

カテゴリーごとに分けて収納。

思い出の品との別れかた

子どもたちが小さい時に描いた絵、旅先で買った置き物、青春時代に愛用したブランド品など思い出の品を処分するのは至難の業です。「手放したら、二度と手に入れられない」と考えると、片付けようという気持ちにブレーキをかけてしまいます。
思い出の品を処分する時には、

  • 写真や動画などに撮ってデータとして残す
  • 最もお気に入りの物だけを残す

ことをおすすめします。

片付けたら、こんなにいいこと

時短で動ける

部屋がすっきりするので、掃除の時間が減ります。また、物の置き場所を決めていることで探す時間もなくなり、時間の節約にもつながります。「あれ、どこ?」といった問いかけも減ります。

節約できる

買い物の際、必要な物だけを購入できるようになり、使いたいものが見つからず再度購入したり、無駄な物を買うことがなくなります。「いっぱい買う」から「質の良いものを買う」に変化する例もあります。

防災につながる

万が一、災害などで被害を受けた場合、片付けができていないと物が倒れてきてケガをしたり、物が散乱していて逃げ道の確保ができない場合もあります。日ごろから万が一に備えて動線を考えたり、防災の意識を持つことも大切です。

心にゆとりが生まれる

部屋がきれいに片付いていると、気持ちにも余裕がもたらされます。嫌なことがあった時、ストレスがたまった時は片付けのチャンスと考えましょう。部屋が整えられると、晴れやかな気持ちに。悩みごとも掃除と一緒にすっきり片付けられます。

より良い未来につながる

ごみを減らすことやプラスチック用品の利用を控えること、大量消費を控えることが地球の環境保全や人々の幸せに結びつきます。一人ひとりの力は小さなものでも、その力が集まれば大きな成果につながります。

家族みんなが幸せなお片付けを

片付けは暮らしにより良い変化をもたらすものです。けれども、家は安らぐ場所ですので、片付けのルールを厳格にしすぎて、家族が窮屈な思いを持つのは残念です。無理せず、家族みんながくつろげる家づくりをめざしましょう。

片付けの一例

2021年9月号より、過去の特集記事がスマートフォンなどで閲覧できます。

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