食の安全の取り組み 食の安全Q&A

食の安全基本のお話パンフ

「食の安全 基本のお話」パンフレット
2021年度版

Q&A

(1)食品中の化学物質(食品添加物・残留農薬)について

食べてはいけない食品添加物は、どのようなものがありますか

食品添加物は、安全性が確かめられて、なおかつ「有用性」がないと認可されない仕組みになっています。現在、国が管理する食品添加物の中で、食品の安全を理由に使用すべきでない食品添加物はありません。最後に指定添加物が安全性を理由に指定を取り消されたのは、1974年、豆腐の防腐剤で約50年前のことになります。国の基準の中で製造・流通している限りにおいて、食品に意図的に使用されている化学物質(食品添加物・残留農薬)における「健康被害リスク」は無視できるレベルと考えます。

「健康被害リスクはまず心配しなくてもよいレベル」というような言い方をするが、安全かどうかハッキリ言い切ってほしい。

食品の中には多くの物質が含まれていて、その危険性は摂取する量によって変わってきます。
「すべてのものは毒である。そしてその毒性は量で決まる」これは、毒性学者パラケルサスの有名な言葉です。例えば、食塩は人間が生きる上で必要不可欠ですが、摂り過ぎると健康に悪いことはよく知られています。
どのくらいの量なら体に影響を与えないか、その量は化学物質ごとに異なります。食品添加物や残留農薬については、「食べても安全な量」を専門家による第三者委員会「食品安全委員会」が決め、これを受けて厚生労働省や農林水産省が使用・残留基準値を決め、生産現場や流通、販売事業者が、その基準を守ることで安全性を確保しています。

化学物質の「食べても安全な量」はどのように決めているのですか

物質ごとの食べても安全な量のことを「ADI(一日摂取許容量)」と言います。物質ごとに、動物実験で一生毎日食べ続けても何も影響が出ない量「無毒性量」を調べます。実験では、発ガン性から急性毒性、胎児や子孫への影響まで調べます。動物と人との違いを考慮して、無毒性量に安全係数(通常1/100)をかけた値をADIとみなします。この「食べても安全な量」の考え方は、世界共通です。

昔は国で決められている添加物等の基準にとらわれず、さらに厳しいいずみ生協独自の基準で運用していたのに、今はなぜ、生協で独自の基準を設けないのですか。

2003年に食品安全基本法が制定され、食品のリスクを評価し、管理する社会的な仕組み「食品安全行政」が整備され、食品添加物などの基準も「国民の健康の保護が最も重要」との視点でつくられるようになりました。専門家による第三者委員会「食品安全委員会」で科学的に評価がされ、世の中に公開して広く意見を聞いた上で、基準が作られるようになりました。今は、添加物ごとの詳しい評価も見ることができるようになっています。
食品衛生法や農薬取締法の基準は、食品公害からBSE問題、毒物混入や食品偽装事件、原発事故などの食の安全をめぐる懸案事項や遺伝子組み換えやゲノム編集などの新しい技術に対応し、改善・補強されてきています。食品を提供する事業者として、法令を順守した上で、食品安全行政が効果的に機能するように、行政への提言や社会への発信を行っています。
生協が創設された1970年代、大量消費とともに多くの食品添加物が使われるようになり、安全性の問題で使用禁止になる添加物もありました。また、情報開示が十分されていませんでした。そんな中、生協は食品添加物をできるだけ使わないコープ商品の開発と普及に取り組みました。いずみ市民生協は、コープ商品の普及に取り組むだけにとどまらず、全国の生協と力を合わせ、食品添加物の規制や食品衛生法の改正、消費者の立場に立った食品安全行政の実現を国に求めてきました。その取組が実り、2003年に食品安全基本法が制定されました。

食品添加物は、いくら微量でも体内に蓄積するので、子や孫に影響が出ないか不安です。

食品添加物は、体の働きにより分解されたり、尿と一緒に体の外に出るなどし、ふつうは体内にたまり続けることはありません。重金属のように体内に蓄積され続けるような添加物は、許可されていません。

合成よりも天然添加物の方が安全なのでしょうか

いわゆる天然添加物は、科学的な安全性評価が不十分なものもあります。「指定添加物」いわゆる合成添加物は、1974年の豆腐の防腐剤AF2を最後に、安全性を理由に指定を取り消されたのはありません。しかし、いわゆる天然添加物の「アカネ色素」は2004年「遺伝毒性及び腎臓への発がん性が疑われる」として、指定を取り消されています。1995年まで、「天然添加物」には特に規制がありませんでした。今は、合成品か天然品かに関わらず新たな添加物は全て厚生労働大臣の指定が必要になっています。

発色剤(亜硝酸塩)は発ガン性があり 怖いと聞きました

「亜硝酸塩が発ガン性物質であるニトロソ化合物の生成に関与するおそれがある」との指摘もあり、以前は問題視したこともありますが、今の知見では、「食品添加物として摂る亜硝酸塩の量はごく微量で、ガンリスクとの関係はない」となっています。
食品やそれを構成する化学物質が健康に害を与えるかどうかは、その毒性と摂る量で決まります。普段の食事で摂取する亜硝酸塩のほとんどは野菜からで、ハムからの摂取量はごくわずかです。
亜硝酸塩は、ハムの色や風味を良くするだけでなく、ボツリヌス菌等の食中毒の発生を抑える効果もあり、岩塩という形でヨーロッパでは昔から食肉加工に使われていました。

保存料として【ソルビン酸】と書いてあるが、これは発がん物質ではないですか。

「ソルビン酸は、脂肪を構成する成分である脂肪酸の一種です。体内では、他の脂肪酸と同様に代謝され、二酸化炭素と水にまで分解されます。急性毒性も、食塩や重曹よりも低い物質で、通常の食事で、健康被害リスクはまず考えられない物質です。ソルビン酸は、世界で最も用いられている保存料で、カビや酵母、細菌に幅広く効果があります。

糖質ゼロやカロリーオフなど最近健康のためにと、そういう商品が増えていますが、「人工甘味料」を検索すると「危険」「発がん性」「副作用」といった言葉が表示されます。大丈夫でしょうか。

一般的な食品の甘味料として摂取する分には、安全性に問題はありません。現在認可されている人工甘味料(指定添加物)は、いずれも発ガン性は認められていません。また、食品として普通に使う量では、急性毒性や慢性毒性の心配もありません。

昔(50年前)、合成甘味料のチクロとサッカリンが発がん性の疑いで使用禁止になっています。本当に合成甘味料は心配ないのですか。

チクロは、アメリカで発がん性や催奇形性の疑いが指摘され、1969年に使用禁止になっています。
ただ、米食品医薬局は、その後の研究に基づく評価で「チクロには発がん性はない」との結論を出しています。
サッカリンは、1977年「ラットで膀胱がんのリスクが高まる」というカナダの研究発表の後、使用が一旦禁止されましたが、その後の研究で、サッカリンが原因でなかったことが明らかになり、現在使用が認められています。

生協は、食品添加物に対して昔のような拘りがなくなったのですか

いずみ市民生協は、着色料や発色剤、保存料を使わない「色や食感、製造方法にこだわった商品」を大切にしています。無塩せきハム・ソーセージ、着色料や保存料不使用の漬物など、「食品添加物を使用しない商品を」という組合員の声で生まれ、みんなに利用されつづけている商品がたくさんあります。
ただ、「無添加だから安全」は言えません。食品添加物は、安全性が確かめられて、なおかつ「有用性」がないと認可されない仕組みになっています。指定添加物が安全性を理由に指定を取り消されたのは、45年前1974年の豆腐の防腐剤が最後です。
いずみ市民生協が創設された1970年代、大量消費とともに多くの食品添加物が使われるようになり、安全性の問題で使用禁止になる添加物もありました。また、情報開示が十分されていませんでした。そんな中、生協は食品添加物をできるだけ使わないコープ商品の開発と普及に取り組みました。
いずみ市民生協は、コープ商品の普及に取り組むだけにとどまらず、全国の生協と力を合わせ、食品添加物の規制や食品衛生法の改正、消費者の立場に立った食品安全行政の実現を国に求めてきました。その取組が実り、2003年に「国民の健康保護が最も重要」とする食品安全基本法が制定されました。
食品安全基本法制定以降、食品のリスクを評価し、管理する社会的な仕組み「食品安全行政」※が整備されました。専門家による第三者委員会「食品安全委員会」が科学的にリスク評価を行い、その結果を受けて厚生労働省等が基準値を決め、製造業者がその基準を守る事で、安全が確保されるしくみです。
「生協として、添加物に拘りがなくなった」のではなく、長年の生協の食の安全を求める運動が、国の仕組みを変えてきたと言えます。

※食品安全行政:食品の安全を守るための国の仕組み
消費者庁ホームページ:食品の安全を守る仕組み
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/safety_system/

グリホサートについて聞きたい。

「輸入小麦で作られたパンから発がん物質グリホサート(除草剤)検出」等々、最近週刊誌等で取り上げられており、不安になられたのではないでしょうか。
グリホサートも含めて、現在使用が認められている農薬は、基準値内の使用であれば、まず健康被害を心配する必要はありません。日本生協連も同じ見解です。
2003年に食品安全基本法が制定され、食品のリスクを評価し、管理する社会的な仕組み「食品安全行政」が整備され、残留農薬や食品添加物などの基準も「国民の健康の保護が最も重要」との視点でつくられるようになりました。専門家による第三者委員会「食品安全委員会」で科学的に評価がされ、世の中に公開して広く意見を聞いた上で、基準が作られるようになっています。今は、農薬ごとの詳しい評価も見ることができるようになっています。
残留基準値は、その農薬の様々な食品を通じた長期的な(生涯)摂取量の総計がADI(許容一日摂取量)の8割を超えないように、農作物ごとに定められており、安全側に十分な余裕を持って設定されています。ADIは、「動物実験で一生毎日食べ続けても何も影響が出ないという量(無毒性量)の100分の1」を基に決められています。また、厚生労働省が、実際に摂取されている農薬の量を調べ、基準値よりも低い値になっていることを確認しています。(おおよそ1/100)
最近、他の組合員さんからも除草剤に対しての不安の声が寄せられることもあり、いずみ市民生協の商品検査センター コープ・ラボでもグリホサートの残留検査を実施し、10月のホットメールとボイス誌の品質管理だよりで結果を公表しました。外国産小麦使用の食パンからごく微量検出されましたが、最大でも基準値の1/120でした。
グリホサートは、ラウンドアップという商品名で、ホームセンターで普通に売られている除草剤の有効成分です。ラウンドアップは米国モンサント社(現バイエル社)が1974年に発売した除草剤で、ほとんどの種類の雑草を除草することができます。散布すると短時間で土壌に吸着され、微生物により分解されて消失するので、環境汚染の可能性も小さく、安全性も高く、適切に使用する限り人の健康被害のない優れた性質を持つ農薬で、世界の160カ国以上で広く使用され、日本や米国では最も多く使用されている除草剤です。グリホサートの特許は既に切れているため、このグリホサートを使用したノーブランド品が他のメーカーからも販売されています。
なぜ、安全性が高く、有用な除草剤として古くから世界中で使用されているラウンドアップが危険な農薬であるかのような風評被害に遭っているのか。この問題に詳しい(公益財団法人)食の安全・安心財団理事長で東京大学名誉教授の唐木英明氏は「ラウンドアップが遺伝子組換え(GM)反対の道具に使われた」としています。「モンサント社がラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物を開発したことから、ラウンドアップも反遺伝子組み換え運動のターゲットになり、不正確な論文や恐怖をあおる映画が作られ、非科学的な風評が拡散し、それが裁判にまで影響し、ラウンドアップを必要としている農業者に不安が広がっている」と指摘しています。
最近、週刊誌等でグリホサートが注目されるようになったきっかけは、2015年3月、世界保健機構傘下の国際がん研究機関が、グリホサートを「おそらく発がん性の可能性あり」の『グル―プ2A』に分類したことです。(この『グル―プ2A』の分類例には、『美容師、夜間シフト、赤肉、65℃以上の熱い飲み物、太陽光』などもあげられています。)
これにより、遺伝子組換え作物に広く使われている除草剤ということで大きな話題となりました。この時同様に『グル―プ2A』にランク付けたダイアジノンとマラチオン(どちらも世界で広く使われている有機リン系殺虫剤)
まったく話題にならず、販売禁止運動も起こりませんでした。このことからもラウンドアップ問題の本質が見えてきます。
この騒動を受けて、世界保健機関と国連食糧農業機関の残留農薬に関する合同専門家委員会は、国際がん研究機関が発がん性の根拠とした全論文・報告書を含めて詳細に審査しました。その結果、グリホサート、ダイアジノン、マラチオンの3つの農薬とも、作物残留を通しての人の健康へのリスク(発がん性、遺伝毒性)はないと判断しています。
日本の食品安全委員会も2016年7月に「神経毒性、発がん性、繁殖能力に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」と結論付けた評価書を発表しています。欧州食品安全機関、欧州化学物質庁、米国環境保護庁、カナダ保健省、ニュージーランド環境保護庁、オーストラリア農業・動物用医薬品局も同様の見解を示しています。
国際がん研究機関が行ったのは、文献情報による「ハザード(発がん物質かどうか)の可能性」の特定です。一方、世界保健機関と国連食糧農業機関の合同専門家委員会や食品安全委員会等リスク(可能性)評価機関は、国際的に合意されたテストガイドラインの試験結果を用いて「ヒトに対する実際のリスクを評価することを目的」とし、他の農薬と同様の手法によって評価しています。
ガンなどの不安を煽り、「使っていないこちらを」と売る・誘う商売もあります。いずみ市民生協は、今後も国内外の行政機関・研究機関での調査・研究の成果に注目し、組合員・消費者が判断できるように、科学的で正確な情報の発信に努めてまいります。

機関誌いずみに「ネオニコチノイド系農薬について健康被害はない」と書いていましたが、正確な情報かどうか疑問です。

機関誌いずみでは、ネオニコチノイド系農薬は「健康被害の点では特別問題視しなければならない農薬だとは考えられません」と解説させていただきました。遠回しな言い方でわかりづらくなっていますが、正確にお伝したいと考えての表現です。科学的には、健康被害のない物質はありません。ネオニコチノイド系農薬も直接口にするなどすると健康被害は出ます。よく知られている事ですが、塩や砂糖も摂る量によっては健康に何らかの影響が出ます。「すべてのものは毒である。そしてその毒性は量で決まる」これは、毒性学者パラケルサスの有名な言葉で、化学物質の健康被害リスクを考える時の基本の考え方になります。
野菜や果物に残留する農薬の量は、残留基準値内に収まるように管理されています。ネオニコチノイド系農薬も残留基準値内であれば、人の健康へのリスクは心配しなくてもよいとされています。残留基準値は、ADI「動物実験で一生毎日食べ続けても何も影響が出ないという量の100分の1」を基に決められています。発ガン性から急性毒性、胎児や子孫への影響まで調べられています。長期摂取による影響が出ないよう十分に余裕を見越した残留基準が設定されており、残留基準を少々超えた作物を摂取した場合でも健康危害が生じる恐れはまずありません。
コープ・ラボ(商品検査センター)では残留農薬検査を実施しています。コープ・ラボの農薬検査機器は、一斉に300項目以上の農薬が測定可能で、その項目に、ネオニコチノイド系農薬も含まれています。ネオニコチノイド系農薬は、検出されないか検出されても残留基準よりも大幅に低い値です。ふだんの食生活における摂取量は、気にしなくてもいいように管理されています。ネオニコチノイド系農薬は「子どもの脳に有害」という記事を読みました。この内容では、随分不安になられたと思います。いずみ市民生協と日本生活協同組合連合会の見解を基に、あらためて解説させていただきます。
記事の見出しで「発達期の子どもの脳に有害」とされていますが、そのような科学的な証拠はありません。記事で紹介されている実験は、培養細胞(生体外で培養されている細胞)による実験によるもので、動物実験の結果では、こうした作用は認められていません。農薬等の安全性評価及び基準設定は、国際的に合意されたテストガイドラインによる動物実験の結果が基本になります。実際の食べものから農薬を摂取する場合は、どれくらい消化管から吸収されるか、吸収された後にどのように代謝(別な物質に変化すること)されるかなどの影響を受けます。培養細胞による実験をそのまま生体に当てはめることは適切ではありません。記事では「昆虫が死ぬのだからヒトに悪い影響が出るのが当たり前」というような論調ですが、昆虫とヒトでは神経が受ける影響は、まったく異なります。ネオニコチノイド系農薬は、神経細胞の受容体(神経伝達物質が結合する部位)に作用します。受容体の親和性(くっつきやすさ)はヒトと昆虫では大きく異なり、昆虫のほうが80倍~数千倍も親和性が高いことが知られています。ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経にはよく効きますが,ヒトの神経には効き目が弱くなっています。この親和性はニコチンとも大きく異なります。ニコチンは、ネオニコチノイド系農薬と比べ親和性が100倍~1万数千倍も強いことが知られています。
ネオニコチノイドは、ニコチンに似た成分(ニコチノイド)をベースにした物質です。昔、天然物であるニコチンが殺虫剤として使われていましたが、人間や家畜への毒性が高いため、使われなくなりました。そこで、人間や家畜への影響が少なく、昆虫に対して選択的に神経毒性を発揮する新しい農薬としてネオニコチノイド系農薬が開発されました。培養細胞による実験の結果やネオニコチノイド系農薬の昆虫への影響、ニコチンのヒトへの影響をそのまま、ネオニコチノイド系農薬のヒトへの影響に結びつけることはできません。ネオニコチノイド系農薬は、ヒトをはじめとする脊椎動物への安全性が高く、殺虫効果も高いことから広く使われています。とりわけ、斑点米の原因となるカメムシの駆除に用いられており、稲作に欠かせない農薬となっています。
引き続き、食品安全委員会等リスク評価機関の動向を始め、情報収集に努めていきますが、現時点では、ネオニコチノイド系農薬を特別問題視しなければならない農薬だとは考えていません。

「日本は農薬の基準が緩くて、農薬大国」と聞きました、本当でしょうか。

農薬の使用量は栽培する作物や気候条件等によって大きく異なり、単純に比較することは出来ません。
作物別に見ると、日本を含め世界各国とも果樹は農薬使用量が多く、大豆やとうもろこし、小麦は少なくて済み、水稲やばれいしょはそれらの中間ぐらいに位置付けられます。作物の違いを考慮せず、単純にすべての作物で使用された農薬の合計を全耕作面積で割った数字で比較すると大きな差が出てきます。例えばアメリカ農業では病害虫の発生が少なく、農薬の必要性が高くない麦類がほぼ半分を占めます。一方、日本では麦類の生産は小さいですが、病害虫の発生が多く農薬を必要とする果樹類が多いです。
同じ作物で農薬使用量を比較すれば、日本が特に単位面積当たりの農薬の使用量が多いわけではありません。国による農薬の使用量にある程度違いがあるのはその国の気候等の違いで発生する病害虫や雑草の種類・量が異なるためです。いずれも適正使用であり、過剰ではありません。
農薬は、品質の良い農産物を安定的に生産するために必要な資材です。農産物の安全は、生産者が農薬取締法(使用基準)や食品衛生法(残留基準)などを順守することよって確保されます。残留農薬の基準は、世界共通の指標「ADI」を基に設定されています。「日本だけが基準がゆるい」ということは考えられません。ADIは、「動物実験で一生毎日食べ続けても何も影響が出ないという量(無毒性量)の100分の1」を基に決められています。

(2)遺伝子組み換え食品・ゲノム編集技術応用食品について遺伝子組み換え食品

遺伝子組換え作物で、アメリカで実害(甲状腺がん、アレルギー、糖尿病、自閉症、不妊、出生障害)が急増と聞きましたが本当ですか。

そのような事実は確認されていません。現在、遺伝子組換え食品による健康被害や子孫への影響の報告例はありません。遺伝子組換え食品も、食品添加物や残留農薬と同じように、食品安全行政のもとでリスク管理(安全性評価が行われ、問題ないものしか流通できないようにしている)されており、1996年から20年以上経ちますが、認可後に問題となり、認可が取り消された品種はありません。

遺伝子組み換え食品を食べ続けても大丈夫ですか

遺伝子を組換えたことによって、新たに作られる物質はタンパク質です。新たに作られたタンパク質も、一般に食品に含まれている他のタンパク質と同様に、食べたあと、胃や腸で分解されるなどして消化されてしまいます。基本的には体内に蓄積するようなことはありません。
さらに、これらのタンパク質については、胃腸で消化されてしまうこと、毒性を持たないこと、アレルギーを引き起こさないことなど、様々な観点から安全性を確認しています。

いずみ市民生協は、ゲノム編集食品の安全性をどう考えていますか?

従来の品種改良されたものと、安全性は同等レベルと考えています。
2018年より、専門家とのリスクコミュニケーションや情報収集をすすめてきましたが、現在入手している情報の範囲では、ゲノム編集食品を、特別に危険視する科学的根拠はありません。
ゲノム編集食品として届出される食品は、外来の遺伝子が残っていないタイプのもので、従来の品種改良と違いがなく、安全性は同等レベルと考えられます。日本生協連と同じ見解です。
ゲノム編集食品は、厚生労働省に事前相談・届出することになっており、届出時には、「外来遺伝子が残っていないこと」「毒性やアレルゲンなどの危害性がないこと」などを根拠とともに示すことが求められています。

なぜゲノム編集技術を使うのでしょうか?

農畜産物は、消費者や生産現場のニーズによる優秀な品種へのニーズが常に存在し、昔から品種改良(育種)が行われてきました。ゲノム編集技術は、新しい品種改良技術の一つです。
ゲノム編集技術は、従来の育種技術に比べて、狙った性質や機能を確実に短期間で実現できる優れた技術です。従来の品種改良では、ランダムにDNAを切り、たくさんの遺伝子に変異をかけ、その次に不要な変異を捨てるという方法で、商品化までに数年から数十年かかりますが、ゲノム編集技術では、1年から1年半で商品化が可能と言われています。2012年に、CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)という簡便で精度が高い手法が開発され、様々な分野での応用が急速に広がっています。
現在、血圧を下げる効果のあるトマトや食中毒を起こしにくいジャガイモ、肉厚のタイや多収穫のお米など、消費者にもメリットのあるものが開発されています。また、地球温暖化による異常気象や世界規模での人口増に伴う食料増産の必要性、天然資源の枯渇化が深刻な水産資源への対策が必要となる中、遺伝子組換えやゲノム編集技術をはじめとするバイオテクノロジーは、農業や漁業、私たちの食の未来にとって、大変重要な技術だと考えます。

「ハサミ遺伝子が残る」や「オフターゲットがある」と聞きましたが大丈夫でしょうか?

ゲノム編集技術で作ったものをそのまま食べる訳ではなく、品種として確立するための戻し交配や選別が行われ、その過程で、ハサミ遺伝子やオフターゲットは確実に除去されます。
「オフターゲット」というと聞きなれない言葉で、新たな大変怖いリスクという印象を持ってしまいますが、オフターゲットは、従来の品種改良では、頻繁に、しかもアットランダムに起こっている現象です。従来の品種改良でも、都合の悪い性質は育種過程(継代・選抜)で除かれ、優れた性質を持つ品種となります。

ゲノム編集技術は未知のリスクがあり、100%安全でないので、不安です。

未知のリスクがない食品はありません。食品やその食べ方には何らかのリスクが潜んでいます。リスクは、「あるかないか」ではなく、「どのくらいの大きさか」で管理します。今食べている野菜や果物もリスクゼロではありません。食べ方によっては、健康に何らかの影響が出る場合があります。しかし、野菜や果物には、リスク以上に大きなメリットがあり、健康のためには、積極的に摂った方がいいことは、よく知られています。(野菜に含まれるカリウムや食物繊維、抗酸化ビタミンなどが、循環器疾患やがんの予防に効果的に働くと考えられています)
食品に含まれる化学物質のリスクは、「ハザード(危害因子)×摂取量」で考えます。お酒(アルコール飲料)は発がん物質(危害因子)です。多量摂取の場合にはリスクが高くなりますが、適量であれば逆に体には良いとされています。少量では、リスクが低く、健康への懸念は生じません。
遺伝子組換え食品やゲノム編集食品は、今まで食べてきた食品との比較で、リスクが高まるかどうかで判断します。ゲノム編集食品は、今まで食べてきた食品と差異がないと判断されています。遺伝子組換え食品も食経験のある既存の食品と比較し、問題のない物しか流通が許可されない仕組みになっており、リスク管理されています。

子孫への影響が気になります。

ゲノム編集食品に、既存食品にない新たな長期毒性を引き起こす原因物質が生じることは想定できません。
「子孫への影響が」と言われると多くの方が不安を抱きます。例えば、水俣病での有機水銀のように、重金属は体内に蓄積するので、長期毒性や次世代への影響が考慮されます。しかし、ゲノム編集食品で変化するのは遺伝子とその遺伝子によりできるタンパク質です。タンパク質は、食べたあと、胃や腸で分解されるなどして消化されてしまいます。基本的には体内に蓄積するようなことはありません。
遺伝子組換え食品もこれまで20年にわたり人間や家畜が大量に食べてきましたが、健康被害や子孫への報告例はありません。「害がないことを明らかにした査読付き科学研究」は現在650件に及んでいます。(2015年現在 小島正美編「誤解だらけの遺伝子組換え作物)2005年ロシアでの「遺伝子組換え大豆でネズミの子どもの死亡率が上昇」とか、2012年フランスでの「遺伝子組換えトウモロコシでネズミのガンの発症率が上昇」という報告は、すでに公的機関によって否定されています。

ゲノム編集技術は、自然でないから危ないと聞きました。

現在、わたしたちが目にする農産物や家畜のほとんどは自然にあったものではありません。
コシヒカリやササニシキも昔からあったわけではありませんし、トマトの原種(野生のトマト)は毒を持っていました。
人類は、植物や動物の性質を自分たちにとって都合のよいように変えてきました。そして、私たちの生活が豊かになりました。作物や家畜の性質を変えることを品種改良あるいは育種と呼び、遺伝子の変化によって性質が変化することを利用しています。ゲノム編集技術は、品種改良の新しい技術の一つです。
自然と受け止められる交配育種も実は、人為的なものです。例えば、地理的に離れていて自然には交配が絶対起こらないような植物を集め受粉させるようなことが普通に行われています。
また、1950年代からは、放射線や化学物質等を用いて突然変異を起こさせ、品種改良する方法が開発され、今でも普通に行われ、新品種が生まれています。コシヒカリに特別な薬品を使って遺伝子に変化を起こして、ねばりを強くした「ミルキークィーン」やイオンビームによる突然変異で生まれた病気に強い「ゴールド二十世紀」などがあります。私たちは、それら品種改良された作物を特段気にすることなく食べています。
農業や育種の歴史、今食べている食品がどのように生まれてきたのかを知った上で、判断すべきだと考えます。
そもそも、自然だから安全、というわけではないことは、フグ毒やキノコ毒のことを考えれば明らかです。

「ゲノム編集食品はガンを促進する」と聞きました。本当でしょうか。

「ゲノム編集食品がガンを促進する」という知見は確認されていません。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究グループと製薬大手のノバルティス社の研究グループが「ヒトの細胞による実験で、がん抑制遺伝子として有名な遺伝子「p53」の働きが低下している細胞で、ゲノム編集による遺伝子改変が効率的に実施できた」とする研究結果を発表していますが、これは、ゲノム編集技術そのものが発ガン性を促進することを示したものではありません。また、これらの実験結果は、医療でゲノム編集技術を用いる場合の課題であり、品種改良としてゲノム編集技術を利用する場合には当てはまりません。

(3)その他

輸入食品は、国産と違い安全面で心配です。

国産だから安全性が高いとは言い切れません。日本の国内で流通している食品の基準は、輸入・国産関係なく、日本の食品衛生法です。日本の国内で流通している食品に関しては「輸入食品だから危険」ということはありません。東京都福祉保健局の取りまとめでは、2015年度の食品衛生法違反は、輸入食品の方が国産よりも低くなっていました。
輸入品目が急増した数十年前、日本と輸出国との基準や規格の違いによる食品衛生法違反が増えましたが、輸入国への情報提供や技術協力といった国や輸入業者の努力により、違反率は減っています。

食の不安情報の中で「予防原則」という言葉をよく聞きます。どういうことでしょうか?

予防原則とは、化学物質や新技術などに対して、環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす仮説上の恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方で、1990年頃から欧米を中心に取り入れられてきた概念です。
しかし、最近、この概念を食品安全など人の健康全般に関する分野に拡大適用し、具体的な仮説も示さず「よく分からないものはすべて禁止」といった極論で使われているケースが見受けられるようになり、懸念されています。
食に絶対安全を求める立場でよく使われる言葉ですが、食品やその食べ方には、何らかのリスクが潜んでおり「絶対安全」は言えません。リスクは「ある」か「ない」かではなく、「どのくらいの大きさか」で管理します。
ちなみに、食品安全委員会の専門家の考える食のリスクは、1位が病原性微生物(食中毒)で2位過食や偏食、3位アレルギー、4位飲酒と続きます。食品を供給する事業者としての生協が考えるリスクも一位は食中毒です。

食の安全 関連リンク集

(1)日本生協連 食品のQ&A
日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)は、各地の生協や生協連合会が加入する全国連合会です。

(2)食品安全委員会
食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下、規制や指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関です。

(3)食品安全情報ネットワーク(FSIN)
食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

(4)AGRI FACT
農と食にまつわる噂・ニュース・風評の「ウソ?本当?」を検証するサイトです。

(5)FOOCOM.NET
科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体「Food Communication Compass(略称フーコム)」が運営しているサイトです。

(6)公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
食品化学に関する研究の助成等を通じて食品の安全性の確保を図り、国民の健康保持増進に寄与することを目的とする公益財団法人です。

(7)大阪府
食の安全安心の取組
生活衛生室 食の安全推進課

(8)厚生労働省
食品の安全に関するQ&A

(9)消費者庁 食品の安全を守る仕組み

(10)農林水産省
①安全で健やかな食生活を送るために
②「ゲノム編集技術 あなたの疑問に答えます」(農林水産技術会議のホームページ)
③「各国の食品・添加物等の規格基準」
アジア諸国を中心に世界各国の食品等に係る法規、規格及び規制について調査した情報を公開しています。

(11)食生活ジャーナリストの会
食生活ジャーナリストの会(JFJ)は、「食」をテーマとして活動するジャーナリスト集団です。

(12)ゲノム編集の未来を考える会
ゲノム編集技術は近年注目されている遺伝子改変技術です。この技術が社会で使われるには、様々な立場の人の意見が反映されることが大切だと考えています。この会は、ゲノム編集に関して多面的に対話を行い、多様な立場の人が議論する場を設けることをめざします。

(13)農研機構
農研機構は、我が国の農業と食品産業の発展のため、基礎から応用まで幅広い分野で研究開発を行う機関です。

(14)くらしとバイオプラザ21
くらしとバイオプラザ21はコミュニケーションの場を提供し、バイオの理解と信頼を築きます。また、プラスの情報もマイナスの情報も公平に提供し、市民のみなさまとのコミュニケーションを図ります。

(15)バイテク情報普及会
持続可能な農業の実現や食料の安定供給への貢献を念頭に、サイエンスベースで透明性ある許認可システムの構築を支援するための活動や幅広いステークホルダーの皆様にバイオテクノロジーの重要性をご理解いただくための広報活動を行っています。

(16)食品添加物協会
日本食品添加物協会は食品添加物についての正しい知識の普及などを目的としてつくられました。

(17)農薬工業会
農薬工業会は、国内の主要な農薬製造業者を中心として組織された任意団体です。

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