機関誌いずみ2022年2月号特集ページ

〜笑顔の毎日へ〜自分の「こころ」との付き合い方

自分の「こころ」は目で見たり、手で触ったりすることのできないものですが、一生付き合っていくものです。家事や仕事、育児、介護などで忙しい日々を生きる私たちは、どのように「こころ」と付き合えばよいのでしょうか?
ストレスによるこころの不調や依存症の対処法などについて、大阪府こころの健康総合センターでお話を聞いてきました。

ストレスって何?

そもそもストレスとはどういったものなのでしょうか?
ストレスとは、外部からの刺激を受けて自分のこころやからだにさまざまな反応が起きることを言います。この外部からの刺激をストレッサー、こころやからだの反応をストレス反応と言います。
私たちは、「ストレスが溜まってイライラする」などとマイナスイメージで「ストレス」という言葉を使いますが、外部からの刺激を受けて夢や目標を持って、頑張ろうとする、前向きになる「ストレス」もあります。外部からの刺激を受けたときの自分のこころやからだの状態によって、プラスにもマイナスにもなります。

ストレスの原因(ストレッサー)

・倒産 ・失業 ・昇進 ・転勤 ・借金 ・仕事のミス ・近親者の死・妊娠・ 看護や介護・ 病気やけが・ 転居・ 夫婦の問題・子どもの問題 ・孤立 ・事故 ・災害 など

ストレス反応

〈からだの反応〉
・胃痛・ 肩凝り・ 頭痛・ 動悸・ 血圧上昇・ 免疫機能の低下 など

〈こころの反応〉
・不眠 ・イライラ ・怒り ・意欲の低下 など

ストレッサーにより、こころとからだにはさまざまなストレス反応が起きます。
※紹介のストレッサーやストレス反応は一例で、個人によって異なります。

ストレスチェック

ストレス反応を放置したままにすると、こころやからだ、行動面にさまざまな影響が出て、病気になることもあります。自分では気づかないうちにストレス反応が生じていることもあります。

当てはまる項目があったら、ストレスのサインかもしれません。ストレッサーによってこころやからだにストレス反応が生じている可能性があります。
3ページのストレス対処法などを参考に、ストレスと上手に付き合いましょう。

ストレスと上手に付き合いましょう

まずは自分のストレスに気づくこと!

ストレス反応は、誰にでも起こることです。
病気ではなく、自分のこころやからだを守るためのサインです。早めにストレス反応に気づいて、対処するようにしましょう。

自分に合ったストレス対処方法を

ストレスを感じたときのこころやからだの状態によって、「ひとりで過ごしたい」「誰かに話を聞いてもらいたい」などストレス反応を軽減する方法は異なります。ストレス対処方法のレパートリーをたくさん用意しておくことをおすすめします。

【たまったエネルギーを抜く・発散する】

スポーツをする・散歩する

カラオケや旅行を楽しむ

落語や漫才を聞く

掃除をする など

【ひとり静かにクールダウンする】

ゆっくりお風呂に入る

好きな音楽を聴く

深呼吸する

ガーデニングをする など

人に話すことで考えの整理になり、解決につながることもあります。ひとりで抱え込まず、相談しましょう。身近な人への相談が難しいと感じた場合や「食欲がない」「眠れない」といった日が続く場合は、専門機関や医療機関に相談してください。(5ページ参照)

日頃から生活習慣を整えること

規則正しい生活やバランスの取れた食事、睡眠時間の確保、定期的な運動など健康的な生活を心がけていると、ストレス耐性を高めることになります。生活習慣を整えることを心がけましょう。

深呼吸でリラックス

ストレス反応が表れているときは、肩や腰が凝るなどの症状に悩まされることもあります。いつでも、どこでも、簡単にできる深呼吸や伸びをして、からだの緊張をほぐしましょう。からだをリラックスさせることで、こころのリラックスにつながります。

その行動、その気持ち、依存症かも?

依存症とは?

特定のものや行動にこころを奪われて、「やめよう」と思ってもやめられない状態になることを依存症と言います。依存症になると、脳の状態が変化して、欲求よのものや行動をコントロールできなくなり、自分の意志でやめることが困難になります。その結果、他のことがおろそかになる、家族など身近な人に心配や迷惑をかける、仕事や学校を休みがちになる、健康を損なうなどの影響をもたらします。

自分で治せる?

依存症はコントロール障がいと言われる病気です。「意志が弱いから」「性格に問題があるから」ではなく、ちょっとしたきっかけで誰でもなる可能性があります。しかし、専門の医療機関や相談機関、自助グループなどのサポートを得て、回復することは可能です。
依存症で苦しんでいる人は、「やめたい」「やめなくちゃ」「でもやりたい」「少しなら大丈夫」と気持ちが揺れ動いています。誰にも相談できず、抱え込み、さらには深みにはまってしまうことも少なくありません。また、家族などが状況を把握していても他人に相談することを躊躇してしまい、事態が悪化する場合もあります。早めに専門機関に相談するようにしましょう。

子どもの話に耳を傾けて

インターネットやゲームの使用をコントロールできず、日常生活に支障が起きる依存もあります。大人はもちろん子どもも「夜ふかしして寝坊し、学校を休む」「成績が落ちる」「ゲームやネットがやめられない」といった問題が起こっています。
スマホやゲーム機を与える前に、使用時間や使用場所などのルールを設けるようにしましょう。また、子どもがゲームに依存する場合は、他に原因がある場合も考えられます。学校や友達、進路のことなどで悩んでいる可能性もあるので、子どもの話に耳を傾けるようにしましょう。

こころの不調は相談を

身近な人のこころの不調を感じたら

身近な人が、ストレスや依存症などこころの不調を抱えていると感じたら、自分だけで、あるいは家族だけで解決しようとしないでください。「気持ちを切り替えたらいい」「一緒に出かけて息抜きしよう」などと良かれと思って働きかけても、状況が悪化してしまうこともあります。まずは、専門機関に相談しましょう。

ひとりで抱え込まないこと

ストレスによるこころの不調や依存症について、専門機関への相談をためらっている理由として、「家族のプライベートなことを知らない人に話すのは嫌だ」「本人の許可なく相談していることを知られるのが怖い」などがあります。相談内容については守秘義務があり、相談してきた人の了解を得ず、他の人に伝えることはないので安心してください。相談することで、ひとりでは思いつかなかったものの見方や解決方法に気づけるかもしれません。

家族や身近な人に関わり方をアドバイス

専門の相談機関では、こころに不調をかかえる本人だけではなく、家族や身近な人の本人への関わり方、声のかけ方などを助言することもあります。また、1回の相談で問題が解決しないことも少なくないため、継続して相談を受けることもあります。

相談窓口

こころの健康相談統一ダイヤル

0570-064-556

大阪府在住の方
9:30~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

大阪市在住の方
10:00~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

堺市在住の方
9:00~12:00、12:45~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

※夜間相談も実施 18:30~22:30(受付は22:00まで)

こころの電話相談(大阪市・堺市以外の大阪府内在住の方)

06-6607-8814

9:30~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)

※水曜日は若者専用電話相談として実施しています。

お住まいの地域の保健所でも相談を受け付けています。

お話を伺ったのは大阪府こころの健康総合センター

「大阪府こころの健康総合センター」は、大阪府民のこころの健康をサポートする機関です。こころの健康に関する電話相談や依存症相談、メンタルヘルスに関する情報提供等を行っています。

大阪府は府民の健康づくりを応援しています!

「健活10」〈ケンカツテン〉で健康生活を!

「健活10」とは、生活習慣の改善や生活習慣病の予防等に向け、府民に取り組んでいただきたい「10の健康づくり活動」のことです。健康に関する10項目の中には、「ストレス」に関するものも含まれています。一人ひとりが健康な生活を送れるよう、できることから始めてみましょう。