機関誌いずみ2022年4月号特集ページ

春から始めよう!続けよう!簡単おうちストレッチ体操

入学や進級、また新しい場所での仕事など、春は生活スタイルに変化が訪れやすい季節です。慣れない環境での毎日に、心身ともに疲れが溜まってきている人もいるのではないでしょうか?そんな時は、からだをグ~ンと伸ばしてリラックスを。ちょっとした時間で手軽にできるストレッチ体操をご紹介します。

筋肉が支える私たちのからだ

私たちのからだは、大小600以上の筋肉で支えられています。「歩く」「走る」「ジャンプする」などの運動も「パソコンのキーボードを叩く」「スマホを触る」「調理をする」など日常的な動作も筋肉の伸び縮みによるものです。
筋肉は20代・30代をピークに、40代以降は衰えていきます。また、酷使した部分の筋肉は硬くなり、痛い・だるい・しびれるなどの症状が出てきます。

ストレッチで筋肉の低下や疲労対策

「筋肉を維持したい」「筋肉の疲労を解消したい」ときは、ストレッチ体操をしましょう。「ストレッチ」とは「伸ばす」という意味で、からだにある筋肉を伸ばす運動を「ストレッチ体操」と言います。1970年代のアメリカの体育学の博士(ボブ・アンダーソン)によって考案され普及しました。
日常的にストレッチ体操(以下ストレッチ)を行うと、筋肉の疲労をやわらげることになり、疲れが溜まりにくくなります。また、ランニングやウォーキングなどの有酸素運動、筋トレといった無酸素運動を行う前の準備体操(ウォームアップ)や整理体操(クールダウン)として行うのもおすすめです。

ストレッチの効果とは?

  • 関節の動きがスムーズになり、可動域が広がるため、動きやすくなり、怪我の予防につながります。
  • 血液循環が促進され、疲労物質がたまりにくくなります。
  • 筋肉がやわらかくなることで血管が広がり、血圧を下げる効果があります。
  • 肩こりや腰痛などからだのコリが少なくなり、痛みなどの不快感が軽減します。
  • 呼吸が深くなり、リラックスした気分で過ごせます。

さぁ、ストレッチ!その前にストレッチの疑問Q&A

Q.いつ行うのが効果的?

A.ストレッチをする時間帯に決まりはありません。いつでも、どこでも、道具がなくてもできるのがストレッチの良さです。

Q.ストレッチの強さはどれぐらい?

A.「痛い」と感じたり、無理やり伸ばすのは筋肉を傷めてしまう可能性があります。
「気持ちいいな」と感じる程度に伸ばしましょう。また、勢いをつけて伸ばすのもNGです。息を吐きながら、ゆっくり少しずつ伸ばしましょう。

Q.苦手なストレッチはやらない方がいい?

A.まず、苦手に思う理由を考えてみましょう。姿勢やからだの動かし方が間違っているため、硬くなった筋肉がほぐれず、「痛い」「しっかり伸びた気がしない」と感じるのかもしれません。無理に伸ばさず、少しずつできる範囲で伸ばしていきましょう。筋肉に働きかけるストレッチは色々あるので、硬くなった筋肉をほぐす他のストレッチを行うのもおすすめです。

Q.毎日やらなくてはいけない?

A.毎日使う筋肉は、メンテナンスが必要です。歯磨きと同じように習慣化できるのが理想。ストレッチの時間を確保するのが難しい場合は、テレビを見ている時などに「ながらストレッチ」をするようにしてみましょう。

Q.ひとつのストレッチに「10回3セット」など決まりはある?

A.特に決まりはありません。1ポーズを20秒ぐらいの時間をかけて行うようにしましょう。またよく使う部位の筋肉(例:利き手や利き足)は縮みやすいので、多めにストレッチをしましょう。

Q.効果があるかよくわからないのですが…

A.筋肉が硬くなりすぎている場合などは、すぐに効果が得られないこともあります。あきらめずに、毎日、短い時間でも継続してください。また、ストレッチを行う際には、どの筋肉を伸ばしているのか意識することを心がけてください。

お話を伺ったのは

社会医療法人同仁会は、堺市で耳原総合病院やみみはら高砂クリニックなどの医療施設や介護施設などを展開され、市民をはじめとする多くの人の健やかなくらしをサポートされています。

(左)社会医療法人同仁会 同仁会本部
健康増進室 北出祥夫さん

(右)社会医療法人同仁会
みみはら高砂クリニック 健康運動指導士
竹内大治さん

耳原総合病院

誌面で紹介!簡単ストレッチ体操

腰が痛いとき ~ 立って行う

●太ももの後ろ、ひざ裏、ふくらはぎ伸ばし

①両足を肩幅に開いて立ちます。
②股関節からからだを折り曲げます。

※見本写真は手が床に着いていますが、無理に伸ばさないように。
※血圧の高い方はこのストレッチを行わないでください。

●太もも 前伸ばし

①壁に片方の手をつき、まっすぐ立ちます。
②壁から遠い方の脚を膝から後ろに折り曲げて、足首を持ちます。両膝を開かないように、脚をゆっくり後方に引っ張るようにします。

脚の裏側のストレッチを行ったら、脚の前側のストレッチも行いましょう。

腰が痛いとき ~ 座って行う

立った状態でストレッチを行うのが難しい場合は、寝ながらや座って行うストレッチがおすすめです。

●お尻の後ろ伸ばし

①椅子に深めに座ります。左足首を右足の膝上に乗せます。

※右足全体を床に着けます。

②左脚の膝を手のひらで押しながら、胸を床に近づけるようにします。

③左脚のふくらはぎを両手で抱きかかえます。お尻は動かさず、左脚を左右に揺らしましょう。
※左右の脚を変えて行いましょう。

肩が凝っているとき ~ 立っても座ってもOK!

●肩甲骨伸ばし

①右腕を肩の付け根から左に向けて伸ばします。その際、左腕で右腕を固定します。

※ひじは曲げず、肩の高さで腕を伸ばしましょう。
※左右の腕を変えて行いましょう。

●首筋・肩甲骨伸ばし

①背中側に手を回します。
②右手で左手首を持ち、右側に引っ張ります。
③首をゆっくり右に倒します。

背中や肩が凝っているとき ~ 立っても座ってもOK!

●肩甲骨ほぐし

①両手を背中側に回し、指を組みます。
②指を組んだ状態で、円を描くように肩の付け根から360度回します。右回り、左回りを行いましょう。

●首筋・肩甲骨伸ばし

①背中に両手を回して、タオルを持ちます。
②背中をごしごし洗うように、上下にタオルを動かします。

※左右の腕を変えて行いましょう。

タオルを使って

全身の凝りや疲れに

●脇・体側伸ばし

①両手を上げて、左手で右手首を持ちます。

②右手を左方向に引っ張りながら、体側を伸ばします。

※左右を変えて行いましょう。

テレビを見ながらの「ながらストレッチ」

これなら、無理なく続けられそう!

●太ももの内側ほぐし

開脚をして、足先をゆらゆら、膝から下をゆらゆら、股関節からゆらゆら。揺らすだけで、太ももの内側の筋肉がほぐれます。

※無理な開脚はしないでください。
自分のできる範囲で行いましょう。

●太ももの前側伸ばし

①横向きに寝て、下側にある腕で頭を支えます。
②上側にある脚を膝から折り曲げ、足首を持ち、太ももの前を伸ばすようにしましょう。

※左右を入れ変えて行いましょう。

ストレッチを続けるためのアドバイス

ストレッチの目的は心身のリラックスです。からだが柔らかくなることがゴールではありません。人と比べたりせず、自分が「心地いい」「疲れが取れる」と思うことを大事にしましょう。また、「腰痛を解消したい」「肩こりをやわらげたい」など具体的な目標を作った方が続けやすいので、目標を立てて、それに合わせたストレッチを行うことをおすすめします。ストレッチを続けても、痛みが改善されない場合は自己判断をせず、病院や医療機関などに相談しましょう。