機関誌いずみ2022年10月号特集ページ

健康のために伝えたい!いつまでも元気に過ごすために知っておくこと

みなさんは健康に過ごすために心がけていることはありますか?定期的にがん検診を受けることは心身の健康を保つために大切なことです。また、寒くなってくるこれからの季節は急激な血圧変動によるヒートショック現象にも注意が必要です。
いつまでも健康に過ごすために知っておくことや、今後もしものときに考えておくと良いことを、大阪府健康医療部健康推進室、保健医療室のみなさまにお話をうかがいました。

定期的にがん検診を

全国最低レベルのがん検診受診率

がんは、大阪府民の死亡原因のトップですが、府民のがん検診受診率は全国最低レベルとなっています。検診で早期発見し、適切な治療を行えば、がんは治る確率が高い病気です。
しかし、検診の受診を控えることで発見が遅れると、ステージが進行し、治療による治癒の可能性が低くなります。ぜひ、定期的にがん検診を受けましょう。

※がん検診は症状のない方のための検査です。何らかの症状がある方は、医療機関を受診してください。
(注1)胃部X線検査に関しては、当分の間、対象年齢を40歳以上とし、年一回行ってもかまわない。
(注2)喀痰細胞診は、原則50歳以上で、喫煙指数が600以上の方のみ(過去の喫煙者含む)に実施。

コロナ禍で受診控えが増加

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、医療機関に足を運ぶことに不安を感じ、受診を控える人もおり、全国で受診者数はコロナ禍前の2019年度より減少しています。
国立がん研究センターは、新たにがんと診断された方の数が2020年に前年比約6万人減少したと発表し、がん検診によって早期発見されるべきがんが、受診控えで見逃されているのではないかと危惧されています。また、体調がすぐれず、病院で検査を受けたところ、進行したステージのがんが発見されるケースが増えているとも聞きます。

どこで検診できる?

会社や健康保険組合で人間ドックやオプション検診としてがん検診を実施している場合がありますので、お勤めの方は職場の健康管理メニューを確認するか、担当部署に問い合わせましょう。
それ以外の方や職場でがん検診を受診する機会のない方は、お住まいの市町村で受けることができます。市町村の広報紙やホームページを確認しましょう。

検診受診も健活10のひとつ!

大阪府民の健康づくりを推進する「健活10 」(ケンカツテン)。生活習慣の改善や生活習慣病の予防などに向け、府民のみなさんに取り組んでもらいたい「10の健康づくり活動」を掲げています。
がん検診の情報は、健活10ポータルサイト「けんしん」コーナーでも紹介しています。

健活10のポータルサイト「けんしん」はこちらから

検診料は?

市町村や会社が実施するがん検診の場合は、検診費用の一部補助により、自己負担額が安くなることがあります。市町村国民健康保険加入の方は、特定健診※も無料で、人間ドック助成制度もあります。
※特定健診とは、40~74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる検診です。

■上記の5大がん検診をすべて受けても自己負担額0円の自治体(令和4年8月現在)

堺市・八尾市・富田林市・柏原市・太子町・高槻市・豊中市・箕面市

検診結果がわかったら

検診の結果、再検査や精密検査の必要があるとわかったら、医療機関で検査を受けましょう。検査を受けず、病気が進行してしまう方もいます。初期のがんは、自覚症状がほとんどありません。「体調が良いから大丈夫だろう」など自己判断は禁物です。自分のために、家族のために、必ず受診しましょう。

毎年、がん検診を受診する時期を決めておくのがおすすめ!
誕生日や記念日にすると、忘れにくいですよ。

寒い季節は要注意!
ヒートショック

ヒートショックとは?

冬になると、よく耳にする「ヒートショック」とは、急激な温度変化にからだがさらされることによる血圧の変動などで、心臓や血管などにダメージを受けることをいいます。短時間で血圧変動が起こることで、失神や不整脈などの症状や、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすケースもあり、重症の場合は死に至ることもあります。

起こりやすいのはどんなとき?

暖かい部屋から洗面所や脱衣所、トイレなど温度の低い場所に移動した時や衣服を脱いで熱い温度の湯につかった時などに起こりやすいとされています。

どんな人が起こりやすいの?

高齢になると、血圧が変動しやすく、体温を維持する機能も低下するため、65歳以上の人は注意しましょう。高齢ではなくても高血圧、糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化リスクがある人、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈がある人も気をつけましょう。また、持病のない人でもその日の体調などでヒートショックが起きることもあります。

入浴は特に注意!

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターによると、全国で年間約17,000人もの人々がヒートショックに関連して入浴中に急死したとされています。その数は交通事故による死亡者数を上回っています。入浴中に血圧の低下などから意識を失い、浴槽で溺死するケースが多発しています。次に下記で紹介する7つの心がけを取り入れましょう。

7つの心がけでヒートショックを防ぐ

  1. 入浴前に脱衣場と浴室を暖かくしておきましょう。脱衣場には小型の暖房器具を置く、浴室はお風呂のふたを開けておく、または、シャワーでお湯を床や壁にかけておくと暖かくなります。
  2. 浴槽につかる前に、シャワーやかけ湯でからだを温めましょう。
  3. 浴槽のお湯の温度は41度以下にしましょう。ぬるめのお湯で、長湯はしないようにしてください。
  4. お風呂に入る前にコップ1杯の水を飲んで、血圧を計りましょう。また入浴後も水分補給をしてください。
  5. 空腹時、食事直後、深夜、起床直後、飲酒後の入浴は控えましょう。
  6. 血圧が高い時や体調が万全でないときは、入浴を避けましょう。
  7. ご家族で声を掛け合うなど「見守り体制」を作りましょう。

もしものときは

注意を払っていても、ヒートショックを起こす場合があります。もし、入浴中の人を「意識をなくしている」「おぼれている」「呼吸がない」状態で発見したら、栓を開けて水を抜き、救急車を呼ぶなど直ちに救命処置を行ってください。
「意識はある」状態などで、救急車を呼ぶことを迷う場合は、「#7119」へ電話をしてください。医師、看護師、相談員が、病気やケガの症状を聞き取った上で、救急車を呼ぶべきか、急いで病院を受診した方がいいか、受診できる医療機関はどこかなどを案内します。

健康な今こそ、人生会議

人生会議とは?

命にかかわる病気や不慮の事故による大きな怪我などは、誰でも見舞われる可能性があります。もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて考えたことはありますか?また家族や医療・ケアチーム等と、あなたの希望を共有していますか?「人生会議」とは、自らが希望する医療やケアを周囲の人と共有しておくことで、厚生労働省からの募集によって決められた愛称です。

どんなことを考える?何をする?5つのステップで人生会議

「病気と闘って1日でも長く生きたい」「延命治療は避けたい」「自分らしい生活ができる程度に苦痛を取る治療を受けたい」など治療やケアの内容、「住み慣れた自宅でくらしたい」「病院や施設で療養したい」など療養する場所についての希望などを考えましょう。

※大阪府では人生会議の記入シートを作成していますので、下記リンクからダウンロードしてください。
※自分の希望は時間の経過や健康状態によって変化するものです。気持ちが変わったら、「決めたから変更できない」と思い込まず、その都度、希望を書き直しましょう。
※書き留めた用紙は、戸棚の奥などにしまい込まず、普段の生活で目につく場所(冷蔵庫に貼るなど)に置いておきましょう。

もしものときに周囲が悩まないために

自分の希望を伝えられなくなると、例えば、ご家族が悩んだり、意見が割れることも考えられます。「お父さん、あの時、どうしてほしかったのかな?」とずっと心にひっかかることもあります。日頃から「人生会議」を重ねておけば、大切な人の心の負担も軽くなるでしょう。

自分らしく生きるために

命の危険が迫った状態になると、約70%の人が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを伝えたりすることができなくなると言われています。「大切にしたいこと」「してほしくないこと」などを事前に伝えておくことは、最期まで自分らしく生きることにつながります。「人生会議」を活用してみてはいかがでしょうか。

※このような取り組みは、個人が主体的に考え、すすめるものです。知りたくない、考えたくない方への十分な配慮が必要です。

大阪府 人生会議(ACP)に関する情報はこちら

いつまでも元気な毎日を過ごすために、日ごろから健康情報を仕入れることが大切です。大阪府やお住いの市町村の広報紙やホームページなどには、たくさんの健康に関する情報が掲載されていますので、チェックしてみましょう。