冬はご用心!ヒートショック&感染症

今月の特集

気温が一気に下がる12月。楽しいことも多いシーズンですが、怖いのは寒い時期に起きやすい事故やかかりやすい病気。この季節、特に気をつけたい「ヒートショック」について大阪府健康医療部の医師・有本虹大さんにうかがいました。予防や対策などをチェックして、年末年始を元気に過ごしましょう。

ヒートショックとは?

急激な温度変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に負荷がかかることで起きる症状のこと。その一例として、失神や不整脈などがあり、重症の場合は、死に至ることも。持病がない人にもヒートショックが起こる可能性があります。とりわけ高齢者に起こりやすい症状で、体に急激な温度変化をもたらす入浴等で注意が必要です。

ヒートショックが起きやすい3つのポイント

Point1

11〜3月

寒い時期は、室内と屋外の寒暖差だけでなく、室内でも温度差ができやすく、注意が必要。

Point2

高齢者

血管の経年変化により、高齢者は血圧のコントロールが難しくなるため症状を発症しやすい。

Point3

入浴時や急激な
温度差のある場所
への移動

体は周囲の温度に徐々に適応します。急な変化は血圧や臓器に大きな影響が出やすくなります。

例えば、こんなことが起きてしまうかも...

お風呂に入ろうと、
暖かい部屋から

寒い脱衣所へ

突然、倒れてしまう

体が冷えたから

熱い湯につかろう!

湯船につかった瞬間に
意識を失ってしまう。

「すぐに温まりたい」「さっとお風呂に入ってしまいたい」という気持ちになりがちです。でも、「すぐに」「急に」は、ヒートショックを起こす要因になってしまいます。

ヒートショックにならないための 6つの対策

1

浴室を暖かくする

脱衣所と浴室の温度変化がないようにする。
寒いところから暖かいところ、
暖かいところから寒いところと
急激な変化が血管や体に負荷を与えてしまいます。

2

入浴時は家族に声をかける

ときどき家族が
「大丈夫〜?」と様子を見る。
普段から互いに
声をかけ合う習慣を持ちましょう。

3

入浴前後に水分補給をする

高齢者は若い人に比べて体の水分量が少ないため、
入浴前後に水分補給をすることが大切。
可能であれば血圧チェックも。
血圧が高いときは入浴を控えましょう。

4

ぬるめの湯に入る

お風呂の湯は41℃以下に設定。
体温に近い、ちょっとぬるいくらいの
温度がベストです。
湯につかる時間は短めに。

5

かけ湯をしてから湯船へ

シャワーやかけ湯で
徐々に体の温度を上げてから湯につかりましょう。

6

アルコールを飲んで入浴しない

お酒を飲むと血管が広がりやすく、
脱水になりやすい状態に。
血圧のコントロールもしづらいため、
お酒を飲んだら入浴は控えましょう。

お風呂場で倒れている、意識をなくしているのを発見したら...

もしものときの応急処置

水面から顔を離す&水を抜く

まずは、浴槽内に顔がつからないようにすること。難しい場合は、浴槽の水を抜いてください。

Check!

座った状態で胸の高さに水面がくるように湯をはりましょう。たっぷりの湯で首までつかると気持ちがいいのですが、水面と顔が離れていると、意識を消失した際も顔が水につかるリスクが下がります。

可能であれば浴室の外へ運び出す

浴室から外へ運び出し、平らなところに寝かせてください。119番通報をして、具体的な指示を仰ぎましょう。

体調が悪いときはお風呂に入らない

体調不良の際、熱変化が体に負担をかけてしまいます。特に心臓疾患、動脈硬化、糖尿病などの持病がある人は、血圧の乱高下が起こりやすい環境を作らないようにしましょう。

歳を重ねると周囲の温度変化に気が付きづらくなることがあります。でも体はストレスを感じており、寒い時期は生活のあらゆる場面で注意が必要です。冬場だけでなく普段から、お風呂ではかけ湯をする、水分を補給してから入る、家族に声かけをするなどを意識的に行ってください。習慣化することで事故を減らすことにつながります。

有本 虹大 医師

感染症にもご注意ください!

毎冬、流行するインフルエンザやノロウイルス。感染すると高熱や胃腸の不調が続くなど、
学校を長期間欠席したり、仕事を休んだり、日常生活に支障が出てしまいますよね...。
かからないためにはどうすればいいか、チェックしていきましょう。

インフルエンザ

主な症状 38度以上の高熱、関節痛・筋肉痛、喉の痛み、咳、倦怠感
風邪と似ているが、症状の強さが特徴的。
感染経路 主に飛沫感染。咳やくしゃみなどで飛び散ったウイルスを
吸い込むことで感染。
特  徴 発症までの潜伏期間は1〜3日。
発症すると急に高熱が出て
全身症状が強く出る。
重症化しやすい人 高齢者・小児・基礎疾患を持つ人。

風邪とどう違うの?
風邪でも熱は出るし、
家で様子を
見ればいいかなぁって
思うんだけど。

風邪、コロナ、インフルエンザはどれも高熱や関節痛があり、見分けるのはとても難しいです。「しんどいなぁ」と思ったら、自己判断せずに病院を受診してください。

ノロウイルス

主な症状 嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱など。
多くは2〜3日で回復。
感染経路 経口感染(ウイルスを含む食品や手指を介して口から体内へ)。
特に生ガキなどによる食あたり、
感染者の嘔吐物・便からの二次感染も多い。
特  徴 感染力が非常に強く、少量のウイルスでも発症する。
家庭内や学校、職場などでの集団感染が起こりやすい。
重症化しやすい人 乳幼児や高齢者は
脱水症状を起こしやすく注意が必要。

ノロウイルスは、年齢や体力に関係なく、誰でもかかることが特徴です。大人は食あたりなどによるものが多く、お子さんは学校などでの二次感染が多い傾向です。また、家庭内でも感染した人の嘔吐物に触れることで家族全員が感染してしまうケースも多く見られます。

かからないための予防はどうする?!

インフルエンザ

ワクチン接種

重症化予防に効果的です。高齢者(65歳以上)がインフルエンザの定期予防接種の対象者です。

※接種方法、費用などについては、お住まいの市町村にお問い合わせください。

基本はマスク&手洗い

人混みではマスク着用をする、外出後には手洗い・手指消毒をすることが基本の対策。

大阪府の感染動向を確認

大阪府では、感染症の発生状況を公開しています。エリア、年代ごとに報告されているので、自分の生活エリアの状況をチェックし、「インフルエンザが増えてきたな」と思ったら、すぐに対策を。

ノロウイルス

手洗いは流水+石けんで30秒以上

石けんを使い、流水で十分に洗いましょう。特に、トイレの後、調理や食事の前、嘔吐物の処理やオムツ交換の後、外出からの帰宅後はていねいに。指先、指の間、親指の周りは汚れが残りやすいため、念入りに。

食品の加熱調理を徹底

ノロウイルスは85〜90度で90秒以上加熱すると消滅します。感染源となりやすいカキやアサリなどの二枚貝は、中心まで十分に加熱調理したものを食べるようにしましょう。

感染者の吐物・便を処理するときは手袋・マスクを着用

感染した家族の嘔吐物の処理やオムツ交換をするときは、手袋&マスクを必ず着用しましょう。家庭内で多い二次感染を防ぐのに有効です。

ここCheck!
ノロウイルスの消毒にアルコールは効かない!

コロナやインフルエンザとは違い、アルコール消毒でウイルスを失活させることができません。用途に応じて塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄めて使用してください。

それでもかかってしまったら...

こんな対策が有効です

日ごろの備えが大切

[常備しておきたいもの]
体温計、解熱剤、経口補水液、常備薬、マスク、塩素系漂白剤
[体調不良時に備えて]
食料・飲料水を数日分ストックしておくのがおすすめ
体調が悪く、外出できない場合でも過ごせるように準備しておきましょう。

早めの受診

「ちょっとしんどいな」「いつもと様子が違うな」と思ったら、無理せず受診を。風邪や胃腸炎だと見過ごしていると、どんどん具合が悪くなり、重症化するケースもあります。

見逃さないで! 重症化のサイン

意識がぼんやりする・会話が成り立たない
高熱が続く(特に子どもや高齢者)
水分がとれず、尿が減る・口が渇く
けいれんや意識消失がある → 迷わず救急車を呼んでください

高橋 佑紀 医師

インフルエンザ・ノロウイルスは冬場に流行する代表的な感染症です。インフルエンザには予防接種があり、特に高齢者や基礎疾患のある方は接種をご検討ください。ノロウイルスは家庭内や学校での二次感染が起こりやすく、感染者の吐物・便処理の対応が重要になります。ノロウイルスの消毒にアルコールは効かず、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)が有効な点も大事です。
これらの感染症対策も含めて、もしものときのために体温計や常備薬、食品等を家庭内に備えておくとよいでしょう。





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