特集 : 思春期の子どもとどう接する?

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誰もが通る「思春期」ですが、親目線から見るとどうしても「難しい年頃」というイメージがあり、どう接すればいいのかと頭を抱える時期でもあります。
今回はそんな思春期の子どもへの接し方やかかわり方、性の問題について、フェリアンの澤樹さんにお話を伺いました。

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- 目次 -

思春期っていつ頃?何のためにある?

思春期は子どもから大人への移行期間。個人差はありますが、大体10〜18歳頃の時期を指します。
こころとからだの両面で劇的な変化が起こるため、思春期の子どもたちのこころはとても傷つきやすく不安定。これまで通りにはいかない不安や戸惑いから、まるである種の迷宮に入り込んでしまったかのように子も親も感じるかもしれません。
しかし、思春期は個人がアイデンティティ※を確立するためにある、大事な成長過程なのです。

※アイデンティティ:自分が自分であること、そして自分が、他者や社会から認められているという感覚を指します。

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澤樹さんにお話をお聞きしました!

まず、思春期を迎えるまでの親としての心の持ち方、接し方について教えてください。

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幼い頃からできるのは、子どもが「親から愛されている」と実感できるかかわり方をすることです。なかでも重要なのは、抱きしめるなどのスキンシップ、そして、子どもの話をしっかりと聴くことだと思います。
こうしたかかわりを積み重ねていくことで、子どもは自分の存在の大切さを実感でき、自然と自己肯定感も育ちます。

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思春期の子どもの親への反抗(反抗期)は、ないよりあった方がいいと聞きますが、本当でしょうか?

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思春期の子どもの親への反抗的な態度は、子どもが自立に向かっている証。そういった意味で、反抗期は子どものこころの成長にとって大切なプロセスと言えますが、最近は思春期に目立った反抗が見られない子どもも増えており、反抗期のあるなしによる良し悪しは特にはありません。
ただし、反抗期がない子の中には、表には出していないけれど、実は鬱屈した感情を1人で孤独に抱えている子もいます。普段と様子が違う、元気がないな、などの異変を感じたらさりげなく声をかけてあげましょう。
いつも見守ってくれている存在がいることは、子どもにとって大きな安心感につながります。

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どうして、親に反抗するのでしょうか

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幼い頃、子どもにとって親は絶対的な存在。しかし、思春期になると「自分は親とは違う1人の存在だ」という意識の芽生えから、親に対して矛盾や反発を強く感じるようになります。そのため、反抗的な態度を取ることが増えたり、対応がめんどくさくなって距離を取ったりします。
また、思春期の子どもは、大人と比べて言葉で自分の気持ちや状況をうまく表現できないため、思春期特有の苛立ちや不安を自分でもどうしていいかわからず、反抗的な態度や言葉でしか表せないこともあります。

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思春期の子どもの反抗的な態度や言葉遣い、親はやはり我慢するしかないですか?

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ある程度の我慢は必要ですが、親も1人の人間。あまりにきついと親自身も当然傷つきます。そんな時は、「その言い方はダメだよ」、「それはお母さんを傷つける言葉だよ」などとはっきり伝えることも大事です。
また、Iメッセージ※を使って話をすると、相手に配慮しながら自分の主張もでき、会話のトーンが柔らかい印象になるので、思春期で反抗しがちな子どもとの対話には有効です。

※Iメッセージ:例えば「(私は)その言葉は寂しい」「(私は)その遊びは心配よ」など、主語を「私」にした、相手に判断をゆだねる会話法です。

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子どもがアイデンティティを確立するために、親ができることはありますか?

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子どもがしっかりと自分と向き合い悩める環境づくりを手伝ってあげることが大事です。親はつい何事も、わが子が失敗しないようにと先回りして助け舟を出したくなりますが、親が助け舟を出しすぎると、なかにはそれに甘んじていく子もいます。
アイデンティティの確立のためには、子どもの力を信じて見守りながら、あまり先回りせず親の考えを伝えた上で、そこから先は子ども自身に決定させることが大事です。
むしろ、そこで失敗しても「大丈夫」と受け止めてあげることこそが親の役割。そうすれば小さなつまずきがあっても、子どもは失敗を恐れず、自らの力で前に進んでいけると思います。

こころもからだも劇的に変化する中、様々な苛立ちや戸惑いを抱える思春期の子どもたち。親から見ると「難しい年頃」と感じる彼らにも、そのような思春期ならではの大変さがあること、その大変さも子どもが自分自身を確立していくために必要な成長過程であることを知っておくと、親も少し落ち着いて関われるかもしれません。
思春期の子どもへの接し方としては、子ども自身が持つ力を信じて温かく見守りながら、必要な時は子どもを守る「壁」にもなることが大切です。
子も親も、悩みながら一緒に成長していくイメージで。そうしているうちに、いつか必ず思春期という迷宮にも出口が見えてきます。親がすべてを背負う必要はなく、困ったときは身近な人や専門家の力も頼りましょう。

思春期の性の問題 Q&A

思春期の性の問題について、家庭や学校では話し合う機会が少なく、突然質問されると戸惑うことがあるかもしれません。SNSでさまざまな情報に簡単につながれる時代。
子どもが外部からの情報に振り回されないためにも、性の問題について考えてみましょう。

Q1.性の問題を知るためのおすすめの本などはありますか?

A.今は本屋でも図書館でも性教育に関する本がたくさんあります。なかでも漫画形式のものは読みやすいですね。
また読んだ後にさりげなくリビングなど目につくところに置いておくと、子どもが勝手に見ていることも多いと聞くのでおすすめです。

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Q2.アダルトサイトなど情報過多なSNSとの向き合い方を教えてください。

A.SNSではとんでもない情報や間違った情報も簡単に入ってきます。でも今やデジタルネイティブな子どもたち。SNSに関しては親より詳しいことも多く、親が完全に制限するのはなかなか難しいです。そのため、事前にSNSとの付き合い方のルールを親子で決めておくことが大事です。ただし、ルールを決める時も親が一方的に決めるのではなく、必ず子どもにも意見を聴き、一緒に考えて決めましょう。必要があればその都度ルールの見直しをしてもいいですね。

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Q3.自分の性別に違和感を覚える子どもに相談をされた場合の対処法を教えてくだい。

A.人の性のあり方は1つではありません。性自認がはっきり決まっている人もいれば、グラデーションのように行き来する人もいます。自分と違う認識を持つ人がいるのは当たり前という認識を親も持っておきたいですね。
その上で、子どもに相談された時は、まずゆっくりと子ども自身の話を聴いてあげること。その先どうしたいかも子どもによって違うため、子どもの意思を確認しながら必要な対処を一緒に考えていけるといいと思います。
ただ、親が対処に悩むときは、専門家に頼ることも必要です。

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幼児期からはじめる性教育 プライベートゾーンについて考えよう

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思春期の子を持つ親からは、「子どもに性的なことをどう伝えたらいいのか」という相談も多く寄せられます。実際、思春期になってから子どもに性の話をするのはとてもハードルの高いこと。性教育は実は幼児期から始めるのがベスト。
幼児期からできる性教育としては、プライベートゾーンの話がおすすめです。
プライベートゾーンとは、「他人に見せても触らせてもいけない、性的に関係ある、自分だけの体の大切な場所」。これは子どもが思春期を迎える前、なるべく早めに伝えておきたい、大切な性教育のひとつです。
プライベートゾーンについて理解することは、子どもが性的トラブルを避けたり対処できる力を育むことにもつながります。

プライベートゾーンを教える時期やタイミング

教えるタイミングは、子どもが自分や異性のからだに興味を持ち始めたタイミングがベスト。日常の着替えやお風呂の時など、会話のなかで伝えるといいでしょう。
プライベートゾーンについては、生活のなかで何度も繰り返し伝えることが大事です。

自分のからだは自分だけの大切なもの

自分のからだはとても大切な宝物であり、その中でもプライベートゾーンは自分だけが見たり触っていい特に大切なところ。必要な場面以外では、たとえどんな人であっても見せたり、触らせたりしてはいけないということを伝えましょう。
同時に保育園など先生に着替えの補助をしてもらう時や、病院の診察時など、どんな場面だといいのかを具体的に伝えることも必要です。

誰かのを見たり触ったりするもダメ

他の人のプライベートゾーンも、自分と同じように大切なので勝手に見たり触ったりしてはいけないことを教えてあげましょう。

プライベートゾーン以外でも「イヤだ」と言おう

からだのどこであっても、またからだ以外のことであっても、自分がイヤな気持ちになったら「イヤだ」と言うことの大切さも伝えましょう。そしてその場から離れること、必ずまわりの大人に話をすることも教えましょう。
ただ、「イヤだ」と言うのは、とても勇気がいることです。もし言えなかった時、「自分が悪い」と子どもが自分自身を責めてしまい誰かに相談するのをやめないように、その場合でも「決してあなたは悪くない」と伝えることも重要です。

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幼少期からプライベートゾーンへの意識を身につけていることは、自らのからだを守るだけでなく、自分自身やまわりの人たち、いずれ誰かと性的に密接になった時には、パートナーのことを大切に思う気持ちにもつながります。

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